経済産業省の総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会は10月31日の会議で、今夏の電力需給実績および今冬の最新電力需給見通しと対策などについてについて議論した。
2025年度夏季の電力需給についてはおおむね安定していたが、全国的に高気温の日が多く、7・9月には電力広域的運営推進機関が、10年に一度の猛暑を想定した電力需要を上回る地域があったと報告した。特に東北では5日間、北陸では2日間、想定を超過しており、従来7月後半〜8月だった高需要期間も7〜9月へと長期化傾向にあるとした。
2025年度冬季の電力需給については、10年に一度の厳しい寒さを想定した需要があったとしても、全エリアで安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できると予測。このため節電要請を実施しない方針とした。
ただし、昨年度は10%以上確保できる予定だった冬季の予備率について、今年度は発電機の廃止やトラブルによる停止が重なり、一部のエリアで4%台しか確保できない時期があると予測する。こうした中、緊急時においては発電設備の定期点検や補修作業の時期を調整するとともに、追加供給力対策などを実施する方針が示された。
また、供給力の安定化を図るため、需要側である企業や家庭への支援を通じて、エネルギーコストの上昇に強い省エネ型の経済・社会構造への転換を引き続き図る方針を提示。これに加え、家庭用蓄電池の導入支援なども盛り込まれた。
2026年度の電力需給見通し、および電力需給対策についても発表されている。来年度は発電所の長期補修停止などが重なり、夏季の一部エリアでは予備率が3%を下回る公算が大きい。特に8月の東京エリアでは最小予備率が0.9%と予測されている。これについて政府は供給力不足を補うため、120万kWの公募を募集するほか、短期の追加供給力調達のあり方について早急に検討を行うとした。
また、26年度以降は老朽化した石炭火力発電所を中心に長期休止や廃止が進む一方で、LNG火力などの新設電源が29年以降に順次稼働する方針だ。そのため、2030年初頭までの高需要期において電力需給が厳しい状況が継続する可能性が高い。
こうした背景を踏まえ、政府は電力の安定供給を守るため既存の制度を見直すだけでなく、突発的な需給変動にも対応できる新しい仕組みを考える方針を示している。
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