国土交通省は10月31日、2025年度「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」の第2回公募で9事業を選定した。今回、▽課題設定型(子育て世帯向け/地域交流拠点整備/健康長寿/団地再生/障害者向け)▽事業者提案型▽事業育成型―の3タイプで公募し、18件の応募があった。
同事業は、ライフステージに応じて変化する居住ニーズに対応した、誰もが安心して暮らせる住環境の整備を促進するために実施。調査設計計画費、住宅などの整備費、技術の検証費などにかかる費用の10分の1から3分の2を補助する。1案件あたりの補助上限額は、課題設定型・事業者提案型が3億円、事業育成型が500万円となっている。
単身高齢女性の住まいなどを採択
中嶋明子さん、都市住宅とまちづくり研究会、すばる建設企画による「高齢女性が終身建物賃貸借契約を結び、任意後見制度も利用できる、コモンのある住まい」では、1960年代前後の郊外戸建て住宅地で増加する単身高齢女性の老後の住まいを提案。自立して安心して暮らせるよう、終身建物賃貸借契約による共同住宅を整備し、居住者の自治と共生で運営するコモンスペースを設ける。任意後見制度など各種制度の活用による効果も検証する。
講評では、高齢単身女性の貧困に対する先導的な取組みとして期待できると評価。その一方で、想定入居期間が25年ほどであることや、入居者の自治によるコモンスペースの運営、個人資産を前提とした提案内容であることから、事業の継続性に対する懸念があるとした。
富田クリニックによる「吸着と発酵で育む、多世代の暮らしとつながり拠点― 草津・Sabay の杜構想 ―」では、地域との結びつきが薄い世代の高齢化・単身化への対策として、サービス付き高齢者向け住宅を核とした多世代が交流できる場、医療・介護・子育てが一体的に行われる拠点を整備。複合ケア施設のデザインなどの検証を行う。
講評では、医療法人が医療の枠を超えて地域に貢献する取り組みであることを評価。地域医療の専門家チームによる堅実な事業推進に期待を寄せた。一方で、提案内容が多岐にわたっていることから、主目的や検証内容を明確化するとともに、地域の空き家との連携させたモデル的な事業にも繋がるよう取り組んでほしいと述べた。
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