建築研究所は10月17日、省CO2に関する先導的な技術の導入を支援する「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」の2021~24年度における採択事例について分析結果(建築研究資料№213号)を報告した。
この4年間に住宅分野で採択された主なCO2対策をみると、ハード技術では、「負荷抑制(外皮性能の強化)」と「エネルギーの効率的利用(高効率設備システム)」がそれぞれ9件で、最も多く採択された。ソフト技術では、「住まい手の省CO2活動を誘発する取り組み(エネルギー使用状況の見える化)」、「波及・普及に向けた情報発信(省CO2効果等の展示、情報発信)」を導入したプロジェクトが、それぞれ8件採択された。

建物用途別の年度別採択件数(住宅)
同事業は、省エネ・省CO2に係る先導的な技術の普及啓発に寄与する住宅・建築物のリーディングプロジェクトに対して、国が支援を行うもの。住宅・建築物の市場価値および居住・執務環境の向上を図ることを目的としている。
木製サッシで熱橋抑制
このうち「外皮性能の強化」の事例(パッシブタウン第5期街区、2023年)では、高性能貫流率の木製窓(アルゴンガス封入三層ガラス)や、庇(ひさし)・可動式外部ルーバーの採用による日射負荷削減などの技術を紹介。YKK APが製造する木製サッシを採用して熱橋を抑制し、UW=1.24W/㎡kの高い断熱性能を実現している。

可動式ルーバーなどによる日射負荷削減
同プロジェクトでは他に、自然採光・自然換気を活用した住戸レイアウトを採用。住戸に複数の開口部を設けることで、室内を自然風が通りやすい構造とした。これにより入居者が自発的に窓を開けるだけで、設備に頼らず換気が可能となり、空調換気のエネルギー消費量削減などに貢献すると説明している。
さらに外部開口面積を大きく確保することで、高い断熱性能を維持しつつ自然光により十分な明るさを得ることが可能となった。こうした自然採光利用により照明電力需要の削減を図っている。

自然採光・自然換気を活用したレイアウト例
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