消防庁がこのほど公表した2024年4月時点の「防災拠点となる公共施設の耐震化推進状況調査結果」(PDF)によると、耐震性が確保されている防災拠点施設の割合は、2022年度から0.6ポイント上昇して96.8%となった。
調査対象となった公共施設17万8201棟のうち、耐震性が確保されていない、または未確認の建物は5773棟(3.2%)で、内訳は「未改修」が3748棟(2.1%)、「1981年以前に建築かつ耐震診断未実施」が2025棟(1.1%)となっている。

耐震化率の推移
警察署の耐震化に課題
防災拠点施設の耐震化率を用途別に見ると、「文教施設(校舎・体育館)」が99.7%で最も高かった。未改修・未確認の施設は297棟。同施設は避難所として指定される割合も高いことから、耐震化が進んでいる。一方、災害対応を担う「警察本部・警察署」の耐震化率は88.2%(未耐震693棟)、「消防本部・消防署」は96.2%(同209棟)だった。
災害対策本部が置かれる庁舎の耐震化状況は、「都道府県」では47団体中46団体(97.9%)で、残り1団体(岩手県)についても代替庁舎の耐震性が確認されている。「市町村」では1741団体中1601団体(92.0%)で耐震化を確認。「代替庁舎の耐震性を確認」が139団体、「庁舎・代替庁舎とも耐震性なし」が1団体(福島県川内村)となっている。

施設区分別耐震率
各都道府県別では、「東京都」「静岡県」(各99.7%)、「宮城県」「三重県」「佐賀県」(各98.6%)などで耐震化率が高かった。その一方で、「島根県」(92.5%)、「北海道」(92.8%)、「山口県」(92.9%)などは、9割は超えているものの、他の都府県よりも低い割合となっている。
こうした結果を受けて消防庁は、「耐震率は着実に上昇しているものの、災害時の業務継続性確保の観点から、未耐震となっている防災拠点の耐震化に早急に取り組む必要がある」と指摘した。
同調査は防災基本計画に基づき、都道府県・市町村が所有・管理する防災拠点施設、災害対策本部が設置される庁舎・代替庁舎の耐震状況について調べたもの。調査対象は、都道府県・市町村が所有・管理する防災拠点で、非構造部材を含む耐震対策により、発災時に高い安全性が求められる。
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