政府が6月に閣議決定した2025年度版「高齢社会白書」によると65歳以上の住居形態は、「持家(一戸建て)」が79.8%、「持家(分譲マンション等の集合住宅)」が3.2%となり、持ち家比率が8割を超えている。また、65歳以上の一人暮らしの割合は男女とも増加傾向にあり、2050年には男性26.1%、女性29.3%に達することが見込まれる。

65歳以上の一人暮らしの動向
住まいへの意識、なおも低調
一方で、老後の住まいに対する備えが十分に進んでいないことも分かった。60歳以上で住宅の確保やリフォーム、修繕など「住まいに関する備え」が必要だと感じている人は全体の25.5%にとどまり、「健康に関する備え」(80.7%)が必要とした回答を大きく下回った。こうした住まいへの意識の低さが空き家率にも表れており、使用目的のない空き家の数は、2023年には1998年の約2.1倍に当たる385万6000戸となった。

老後の備えに関する意識
日常生活におけるバリアフリー化の進捗については、30歳代以下では「十分進んだ」「まあまあ進んだ」との回答が約5割だったのに対し、60歳・70歳代では「あまり進んでいない」「ほとんど進んでいない」との回答が6割強となった。この結果から、若者がイメージするバリアフリー化と、高齢者が実際に必要としているバリアフリー化とでは、認識に乖離(かいり)があることがわかる。

バリアフリー化に関する意識
良質な高齢者向け住宅の供給を
政府ではこうした状況を受け、良質な高齢者向け住宅の供給を推進。サービス付き高齢者向け住宅の整備費に対する補助、税制の特例措置などを講じるほか、非接触でのサービス提供を可能とするIoT技術の導入を支援する。併せて、民間賃貸住宅を活用したセーフティネット住宅の登録を進めるため、登録住宅の改修費用への支援も行う方針。
高齢者の自立や介護に配慮した住宅の建設およびバリアフリー化に向けては、「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」(PDF)の普及を図る。さらに高齢者自らが行う住宅のバリアフリー改修への融資やバリアフリー性能に優れた住宅に係る金利の引下げに加え、リバースモーゲージ型住宅ローンの普及を支援する。
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