国土交通省は5月30日、「バリアフリー法」の改正政令が6月1日に施行されたことに伴い、バリアフリー設計のガイドラインとなる「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」を改正して公表した。
新たな設計基準を示した「本編」に加え、バリアフリー法の概要や考え方についてまとめた「付録」、建築主(発注者)・設計者・施工者などの関係者に向けた別冊資料「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」「バリアフリー改修・改善のポイント」「設計事例集」「誘導基準チェックリスト」も、合わせて公表している。

新ガイドラインと別冊資料
整備内容を「推奨」から「標準」に
同ガイドラインでは建築物のトイレ、駐車場、劇場の客席の設計基準について、改正政令を踏まえた内容に変更。これまで推奨にとどめていた記述を「標準的な整備内容」として明記している。
トイレについては、設計の考え方を大幅に変更し、「車椅子使用者用便房」「オストメイト用設備を有する便房」「乳幼児用設備を有する便房」など便房の種類を明確化した。さらに一つの便所や施設全体における便房機能分散について考え方を示している。車椅子使用者用便房の設置数についても、「小規模階を有する場合は床面積の合計が1000㎡に達するごとに1以上」といった基準を明記した。

一つの便所における機能分散の考え方
駐車場の記述も拡充
駐車場については、車椅子使用者用駐車施設の設置基準を変更。駐車施設数が200以下の場合は「駐車施設数×2%」台以上、200を超える場合は「駐車施設数×1%+2」台以上設置する必要がある。
さらに後部スペースの確保に関する記述を拡充。後部ドアからのスロープ・リフトによる乗降が可能な車寄せやスペースを建築物の出入口付近に設置すること、または車椅子使用者用駐車施設の後部に奥行き300㎝程度の乗降スペースを確保することが望ましいとしている。

車椅子使用者用駐車施設の例
劇場・競技場などの客席については、車椅子使用者用客席の設置数の基準を変更。客席に設ける座席数が400以下の場合は2以上、400を超える場合は当該座席数の200分の1以上などとした。また、車椅子使用者用客席のサイトライン(観客席からの視界や視線)の確保に関するチェック項目や検証方法について記述を追加した。
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