国民生活センターによると、太陽光発電システムの点検に関する相談が近年急増している。相談件数は、2020年度までは50~60件程度だったが、21年度に90件、22年度には154件、23年度は304件と年々増加。24年度には前年度の約2倍となる613件の相談が寄せられた。

太陽光発電システムの点検に関する相談件数
主な相談内容は、「事業者から太陽光発電設備の点検は義務化されていると言われたが本当か」「太陽光パネルの無料点検をすると電話があり、点検をしたら高額な契約を勧誘された」「太陽光パネルを長期使用するためには洗浄とコーティングが必要だと言われた」などがある。中には「県から依頼された」「パネルによる火災事故が起こっている」などと言い、無料点検を勧めるケースもあった。
また、ある事例では業者を名乗る者から固定電話に電話があり、「太陽光パネルには点検義務がある」と言われて、無料だという点検を依頼。点検後に修理が必要だと告げられ、「修理するには20万円、修理せずに太陽光パネルを撤去するなら50万円が必要」と言われたという。
寄せられた相談のすべてが点検商法だったとは言い難いものの、点検義務に便乗した営業や多額の請求を行う事業者も存在したと考えられる。

相談内容別の割合
定期的なメンテナンスは必要
太陽光発電の定期点検については、2017年施行の改正FIT法により、FIT制度を利用しない場合を除き、50kW未満の住宅用設備にも定期点検が義務化された。設置後1年目(初期不良の有無の確認)と、4年に1回の定期点検を実施するよう求めている。
また、FIT制度を利用しない場合も、故障や発電量の低下を防ぐため、所有者による目視点検や異音・異臭・振動などがないかの確認、専門業者による定期的なメンテナンスの実施を推奨している。
◆参考資料:
「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」(日本電機工業会・太陽光発電協会 技術資料、2019年改訂、PDF)
「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」(資源エネルギー庁、2025年4月改訂、PDF)
同センターは消費者へのアドバイスとして、飛び込みの営業などで「点検が義務化された」などと言われても安易に契約せず、点検の要否を確認することを推奨。まず、太陽光発電システムを設置した事業者に相談や確認を行うよう呼び掛けている。さらに点検やメンテナンスの契約をする場合も、その場で契約せずに複数社から見積りを取って検討することを勧めている。

注意喚起のチラシ
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