ダイキン工業(大阪市)は、室内のエアロゾルの拡散状況を低コスト+短時間で簡易シミュレーションするシステムを独自開発。ウイルスの感染リスクを評価する手法として、その有効性を国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で確認した。
これまで、エアロゾルの拡散による感染リスクの評価には、スーパーコンピュータでも時間がかかり、空間ごとに適した空調システムの配置を短期間で検証するのは困難だった。
そんななかダイキンは、低コストかつ短時間で様々なパターンを検証できるシミュレーション方法を確立。この簡易シミュレーション手法を用いて空調システムの適切な配置と稼働条件を導き出すための検証を行なった。

クリーンブースにおける試験風景
検証では、4×3.5×2.4mのクリーンブース内でエアロゾルを吐き出す感染者と非感染者の対面での会話を想定し、さまざまな空調システム条件下において、実測によるエアロゾル濃度と簡易シミュレーションデータとを比較。
具体的には、空気清浄機の有無や設置位置、空調機の併用、「UVストリーマ除菌ユニット(中性能フィルタ付)」の有無など17ケースについて検証を行なった。
その結果、「UVストリーマ除菌ユニット(中性能フィルタ付)」を装着した空調機と、最適な位置に配置した空気清浄機を同時に30分間稼働させた場合、室内全体のエアロゾル濃度を最大88%低減し、非感染者が曝露する範囲におけるエアロゾル濃度を最大94%低減する可能性があることを確認した。

クリーンブース内の機器の配置。最適な位置は⑧
今回、簡易シミュレーションで算出した値が実測値と再現性があることがわかったことで、低コストかつ短時間でさまざまな空間条件にあわせた空調システム提案が可能になるとする。
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