高性能住宅のつくり手として、地域で安定したポジションを確立している大工工務店のつかした建築代表の墳下壮司さんは、地域貢献を軸に据えた経営を強化していく考えだ。その一環として、3月には自社のすぐ近くに、地元の人たちの憩いや交流の拠点となるカフェバー&サウナ施設をオープンする。墳下さんは同施設を「日ごろお世話になっている地元への恩返し」と位置づけつつ、「暮らしを豊かにする家づくりや家守りを支えていく次世代の大工の育成など、『地域のために』という強い思いを持って本気で取り組みたい」と語る。【編集部 関卓実】
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事務所のすぐ近くにある敷地に整備するカフェバー&サウナ施設は、3月中に完成・オープンする予定だ |
3月中のオープンを目指して工事を進めるカフェバー&サウナ施設「BARE HAUS(ベアハウス)」は、木造平屋建て・延べ床面積18坪。事業再構築補助金を活用しながら、総事業費約2000万円を投じて整備する。墳下さんは、施設を整備する理由について「コロナ禍で地元の行事などが軒並みストップするなかで寂しさを感じた。僕と妻は、2人とも縁もゆかりもないこの内保地区(長浜市郊外)に移り住み、工務店を営みながら、自宅も建てて子育て(長女18歳・次女16歳)もしてきた。地元の人たちに支えられて今がある。コロナによってダメージを受けた地域コミュニティの再生に少しでも役に立ちたい」と話す。
「地元にはないが、あれば絶対に地元の人たちに喜んでもらえる施設」として、カフェバー&サウナに決めた。おいしいコーヒーやスイーツを味わうことができ、健康や疲労軽減の効果が注目され、世代を問わずにブームになっているサウナを地元にいながらにして楽しむことができる拠点だ。この施設の開設に向け、墳下さんの妻の明希さんが運営・管理の責任者として同社にジョイン。明希さんは「地元の人たちに恩返しがしたい、少しでも地元の役に立ちたいという思いは代表(夫)と同じ。地域の人たちが気軽に集える“場づくり”をしていきたい」と意欲を見せる。
地域の憩いと交流の場所として提供する同施設では、訪れる人に対して、つかした建築の家づくりの仕様や世界観も伝える。この現場では、自社では初めてとなる付加断熱を採用して断熱等級7に近い断熱性能を確保し、耐震については許容応力度計算による耐震等級3とした。長浜市産のスギ材による外壁など、ふんだんに無垢の木を用いる特徴も打ち出している。
「高性能&大工」が“引き”に フラッグシップモデルが完成
本業の家づくりでは、高い性能(断熱・気密、耐震)や地場産材の活用、シンプルなデザインに加えて、墳下さんの大工としてのブランディングが奏功し、棟数は多くないものの受注は堅調だ。墳下さんは・・・
この記事は新建ハウジング2月28日号4・5面(2025年2月28日発行)に掲載しています。
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