国土交通省の住宅税制のEBPMに関する有識者会議(座長=清水千弘・一橋大学ソーシャル・データサイエンス学部教授)は6月16日の第4回会議で、中間とりまとめの案をまとめた。住宅ローン減税やリフォーム促進税制による住宅投資額の押上効果が、税の減収額を上回る可能性を示唆。また省エネ住宅や性能向上リフォームに対する優遇措置も、政策目的に対して一定の効果を発揮しているとの見解を示している。
住宅ローン減税による減収額は、2024年度で国税8280億円・地方税1790億円。対して同会議の試算では、住宅投資額の押上効果が約0.9兆~5.8兆円、経済波及効果は約1.7兆~10.4兆円に上るとされ「一定の負担軽減効果、住宅購入などへの影響が見られるとともに、インプット(減収)と同等以上の住宅投資額の押上効果がある」とした。
また、省エネ住宅(長期優良住宅など)や子育て・若者夫婦世帯への優遇措置も「政策目的に対し一定の効果が発現している」とまとめた。
リフォーム促進税制も、減収額20億円(23年度)に対し、投資額の押上効果は約30億円・経済波及効果は約58億円。補助事業や融資も含めた支援によって「性能向上リフォームの促進に一定の効果が発現していると考えられる」とした。
その他、固定資産税の減額措置や空き家の譲渡所得3000万円特別控除も、一定の効果を認めた。今後は住生活基本計画の見直しも踏まえ、整合性のある住宅税制のあり方について検討を進めるとともに、同会議での議論を、来年度の税制改正要望にも反映させていく考え。
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