総務省がこのほど公表した令和6(2024)年度の「公害苦情調査結果」(PDF)によると、1年間に全国で受け付けた公害苦情件数は6万6931件で、前年度と比べて2222件(3.2%)減少した。
発生源別では、「会社・事業所」(46.2%)、「個人」(30.6%)が多く、このうち「会社・事業所」では、「建設業」(44.8%)が最多となった。建設業に対する苦情の内訳は、「工事・建設作業」が1万1201件で最も多く、全体の80.8%を占めた。次いで、「産業用機械作動」624件(4.5%)、「焼却(野焼き)」494件(3.6%)、「投棄された廃棄物」279件(2.0%)の順となった。
発生原因別で最も苦情が多かったのは「工事・建設作業」で、1万3134件(受付件数のうち19.6%)の苦情が寄せられた。次いで「焼却(野焼き)」9567件(同14.3%)、「自然系(動植物)」8123件(12.1%)が多かった。発生源の地域は「住居地域」が2万7265件と最多で、全体の40.7%を占めた。
受付件数の推移を見ると、「焼却(野焼き)」に関する苦情が減少傾向にあるのに対し、「工事・建設作業」に関する苦情は増加し続けている。これらの結果から、建設作業に対して住民から厳しい視線が注がれている実態が浮き彫りとなった。

発生原因別公害苦情受付件数の推移(上位3項目)
「感覚的被害」への対応が課題に
2024年度に寄せられた苦情のうち「典型7公害」は4万7622件で、前年度比で1347件(2.8%)減少。内訳は、「騒音」(39.5%)、「大気汚染」(26.5%)、「悪臭」(19.2%)の順に多く、これら3公害で全体の85.2%を占めている。
このうち「騒音」については、「感覚的・心理的」な被害を受けたとした人が全体の94.3%を占めている。苦情に対する処理については「行政指導」が68.3%となった。防止対策では、「作業方法、使用方法の改善」が47.1%、「その他の方法で対策を講じた」が10.9%、「防止対策は何も講じていない」が16.1%となっている。この調査結果は、苦情が集中する住居地域での作業において、騒音対策や作業方法の改善が喫緊の課題であることを示している。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。
































