群栄美装(群馬県前橋市)はこのほど、群馬県渋川市内に、意匠・性能に優れる総額8000万円の平屋「山を見晴らす家」を完成させた。ここ数年、7000万円超の住宅を年間2~3棟コンスタントに手がける同社代表・井野優一さん(一級建築士)は「特に(高価格帯を)戦略的に狙っているわけではないが、結果的に高額案件でつくり手としてもやりたいことや新しいことにトライでき、設計力も向上して“建築の幅”が広がっている手応えはある」と語る。井野さんは今後、設計・監理業務を全国的に事業展開していく考えだ。【編集部 関卓実】
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| 左:焼杉の外壁と銀古美の瓦が載った寄棟屋根の調和が美しい玄関(北)側外観。張り出した軒が水平方向へ伸びていくような印象を与える、高さを抑えたプロポーションが特徴的、右:寄棟屋根の形状をそのまま映し出したような化粧垂木を施した勾配天井が家族の暮らしを包み込む | |
夫婦(30代前半)と3人の子どもの5人家族のための「山を見晴らす家」は、延べ床面積約40坪の規模。外観は、焼杉を張った壁や銀古美の瓦で仕上げた寄棟の屋根、張り出した軒が水平方向に広がっていくような、高さを抑えたプロポーションが特徴的だ。
井野さんは、南北に長く、遠く東に群馬県のシンボル・赤城山の山並みを見晴らせる敷地条件を生かして建物の配置を計画。建物も南北に伸びるような形としながら、南側に設けたLDKのメインの開口を眺望の良い東に対して大きく開いた。
一方で、南側の隣地も施主が所有する農地で建物が建つ心配がないことから、LDKの南面にも十分な開口を設けて日射を取り込めるように配慮。建物のコーナー(東南角)を囲むような形で、この東面の大開口(窓辺ベンチ)と南面の開口をつなぐ広いウッドデッキが、美しい庭(造園:ファンランドスケープ)や周囲の豊かな自然と室内を一体化している。
家族の暮らしを包む化粧垂木の勾配天井
井野さんは設計のコンセプトを「家族がリラックスできるゆとりのある家にしたかった。そのため“余白”を感じさせる空間づくりを意識した」と説明する。それを象徴するのが屋根の寄棟形状を室内に反映させ、化粧垂木で仕上げたLDKの勾配天井だ。高さのあるおおらかな空間が、家族を包み込むような印象を与える。
広いLDKの一角に設けた障子で・・・
この記事は新建ハウジング7月20日号7面(2025年7月20日発行)に掲載しています。
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