シェルター(山形県山形市)は7月15日、純木造建築としては世界最高という高さ110m、地上24階建ての超高層ビルの技術的シミュレーションを完了したと発表した。国産カラマツと同社の木質耐火部材「COOL WOOD(クールウッド)」を用いたこのモデルは、東京都内での建設を想定した事務所・集合住宅の複合用途建築で、都市部における木造超高層建築の実現可能性を示す重要なマイルストーンになるとしている。

外観イメージ
構造体にはヤング係数が高いカラマツ集成材を採用。最下層には2000mm角の柱、500×1000mmの梁を設け、高剛性を確保するために鋼棒とグラウトを用いたGIR(グラウト・インジェクション・ロッド)接合を導入している。柱と梁の接合部では、梁端に靱性を持たせる構造制御設計を採用し、地震時には鋼棒が塑性変形することで地震エネルギーを吸収する仕組みを構築。さらに、必要箇所には制震ダンパーも配置し、構造体の損傷を抑制する。
耐火性については、同社の「COOL WOOD」により、1~3時間に対応する5種の耐火仕様(1、1.5、2、2.5、3時間)を設定し、建物全体にわたって高水準の耐火性能を担保している。
環境性能にも注目が集まる。鉄骨造との比較シミュレーションにより、木造化によって約8700tのCO2排出量削減効果が確認された。これは自動車約75万kmの走行に相当する。また、使用された木材により建物自体が約1万8600tのCO2を炭素固定しており、これはスギ約3万7千本分の蓄積量に相当するという。


内観イメージ
同社は創業以来、木造建築の高度化に取り組んでおり、今回の超高層シミュレーションはその技術の結晶。シェルターでは「木による都市づくり」の次なるステージへと進み、木造建築が持つ環境性・安全性・持続可能性を追求しながら、持続可能な社会の実現に貢献していくとしている。
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