国土交通省は1月27日、2024年に全国で発生した土砂災害は1433件だったと発表。直近10年(~2023年)の平均件数1488件とほぼ同規模だった。死者は56人、人家被害は705戸。人家被害の内訳は、全壊が214戸、半壊が174戸、一部損壊が317戸だった。
県別で最も被害が大きかったのは能登半島地震で被災した石川県で、702件(全体の49%)を記録。1月中に発生した土砂災害では、9割以上に当たる424件が石川県に集中した。これは単一の県で発生した地震による土砂災害では、過去最大となっている。2位は静岡県の86件、3位は神奈川県の65件、4位は山形県の58件、5位は島根県の53件だった。
気象現象別では、多い順に「能登半島地震」(456件)、「9月20日からの記録的大雨」(278件)、「台風10号」(157件)などとなっている。

土砂災害発生件数の推移(資料より引用)
砂防など45施設で被害防ぐ
一方、全国の砂防等の施設で、土砂・流木などを捕捉した報告が45事例あることも分かった。
長野県松本市安曇上高地では7月1日、連続雨量163㎜、時間最大雨量26㎜の降雨が発生。この際、土砂流出が発生したが、堆積工が約1500㎥の土砂を捕捉した。これにより景勝地である上高地への主要アクセス道や宿泊施設などへの被害を未然に防いでいる。
また神奈川県横浜市磯子区では、6月18日から19日にかけて降った大雨によりがけ崩れが発生。その近傍にある急傾斜地崩壊防止施設で土砂を防いだことから、住宅への被害は食い止められた。

横浜市での事例(資料より抜粋)
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