総務省・消防庁が1月21日公表した2024年版「消防白書」によると、2023年に発生した建物火災の件数は2万974件で、前年比で4.0%増加。このうち57.7%に当たる1万1112件が住宅火災だった。
住宅火災の内訳は、「一般住宅」が8087件(38.6%)、「共同住宅」が3712件(17.7%)、「併用住宅」が313件(1.5%)。構造別では、「木造建物」が最も多く7762件。次いで「耐火造」6299件、「準耐火非木造」2398件の順となった。
建物火災の要因は、「こんろ」2769件(13.2%)、「たばこ」1925件(9.2%)、「電気機器」1688件(8.0%)によるものが多かった。こんろは「放置」、たばこは「不適切なところに捨て置く」、電気機器は「短絡(ショート)」を要因としたものが多かった。

建物火災の火元建物用途別の状況(白書より引用)
建物火災のうち、消防隊が出動して放水を行ったのは1万23件。放水開始後30分以内に鎮火に至ったのは2218件で、843件が放水後11分から20分までに消し止められた。
建物火災による死者数は1200人。そのうちの93.9%(1127人)が住宅火災で亡くなった。中でも「一般住宅」が903人(75.3%)で最多だった。「避難行動を起こしたが逃げ切れなかった」「延焼拡大が早かった」「気付かなかった」などを理由に、全体の4割に当たる415人が逃げ遅れている。人口10万人当たりの死者数は、65歳以上の高齢者が全体の7割を占め、80歳代が最も多かった。

住宅火災で死に至った経過(資料より引用)
火災警報器設置率は8割
義務化されている自宅用火災警報器の設置率は、2023年6月1日時点で84.5%となった。「福井県」(95.1%)、「宮城県」(93.4%)、「新潟県」(90.5%)などで設置が進んでいるのに対し、「沖縄県」(61.9%)、「高知県」(66.6%)では6割台にとどまっている。
消防庁では、連動型住宅用火災警報器や、一酸化炭素を感知するタイプ、音や光を発するタイプの住宅用火災警報器を推奨。さらに近年、大規模地震で電気に起因する火災が多く発生していることから、強振時に自動で電源を遮断する「感震ブレーカー」の普及を推進している。
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