経済産業省は11月28日、総額約2.7兆円規模となる2025年度の補正予算案を発表した。複数年度にわたる投資枠を含めると3.1兆円規模となる。今回の補正予算では、中小企業の賃上げに向けた環境整備、家庭部門を含めた省エネ・再エネ導入支援などにも重点が置かれている。
中小企業への支援策については、補助金支給の要件として賃上げや生産性向上による企業の成長が求められることから、企業側では業務効率化やDXの推進、給与規定の見直しも含めた検討が必要となる。
企業の「稼ぐ力」を強化
地方の中小企業の賃上げを後押しする「中堅等大規模成長投資補助金」には4121億円を計上。事業規模拡大に伴う設備投資を補助するほか、大企業から経営人材を受け入れた場合に給付金を支給する。
中小・小規模事業者向け支援策では、企業の「稼ぐ力」を強化するための「中小企業生産性革命推進事業」(3400億円)を実施。業務効率化のための「デジタル化・AI導入補助金」、販路開拓支援などの「小規模事業者持続化補助金」、「事業承継・M&A補助金」などを実施する。ハンズオン支援(専門家派遣)をはじめとした総合的な支援も行う。
資金繰り支援に152億円
また、財務上の問題を抱える中小企業への支援策として、「中小企業活性化・事業承継総合支援事業」(74億円)を実施。事業の抜本的な見直しが必要な企業に対し、常駐専門家による再生支援相談や、再生計画策定支援などを提供する。後継者不在の事業者と譲り受けを希望する事業者とのマッチング、事業承継計画の策定なども支援する。
資金繰りに悩む企業を対象とした「中小企業信用補完制度関連補助事業」(152億円)、外部環境の変化に伴う経営課題への対応を支援する「事業環境変化対応型支援事業」(148億円)、価格交渉・価格転嫁の実態調査を行う「中小企業取引対策事業」(7.6億円)なども実施。能登半島地震で被災した中小企業・小規模事業者の再建に向けた「なりわい再建支援事業」には250億円が投じられる。
賃貸給湯事業は35億円に縮小
住宅を含めた脱炭素化に向けた支援では、国土交通省・環境省との連携による「住宅省エネ加速化支援事業(先進的窓リノベ2026事業)」(1125億円)、「高効率給湯器導入による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金(給湯省エネ2026事業)」(570億円)に加え、「脱炭素志向型住宅の導入支援事業」(750億円)の予算を確保。「既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業(賃貸集合給湯省エネ2026事業)」は、前年度の補正予算では50億円を計上したが、補助金の活用が進まなかったことなども踏まえ、予算規模は35億円に縮小される見通しとなった。
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