8thCAL(エシカル、東京都中央区)はこのほど、建設業で建築・施工・改修に携わる20~60代の担当者を対象に実施した「現場における害虫獣リスクと対策意識に関する実態調査」の結果を発表した。調査日は9月12日、有効回答数は781人。
建築開始前の現場環境でシロアリやゴキブリ、ネズミなどの「害虫や害獣が侵入しやすそう」と感じた実務者は、「非常によくあった(11.5%)」「よくあった(23.4%)」「ときどきあった(37.5%)」を合わせて72.4%だった。実に7割超の人が着工前の現場で害虫などのリスクを感じたことがあることが分かった。
この結果を受け、同社は、立地や周辺環境の条件によって工事前から害虫獣の侵入リスクが潜んでいることから、企画・設計の段階から環境を含めたリスク診断を行う必要性があるとして、建ててから対応するのではなく、建てる前から備えることの重要性を説いている。

「建築計画段階からの害虫獣対策」については、「とてもそう思う」(21.1%)、「ややそう思う」(36.8%)を合わせて57.9%が「取り入れるべき」と回答。過半数の実務者が予防的な取り組みを重視していることがわかった。その一方で、「どちらとも言えない」と答えた人も30.0%にのぼり、対策の必要性を感じつつも判断材料が不足している層の存在も浮かび上がった。

害虫獣リスクの対策意識についての課題感を聞いたところ、「特に困ったことはない」(30.0%)が最多となる一方で、「予算を確保しにくい」(24.8%)、「施主や発注者に必要性を理解してもらうのが難しい」(19.6%)、「具体的な方法や資材が分かりにくい」(16.5%)といった、対策導入の初期段階で直面する課題も上位を占めた。
また、「専門業者や協力会社との連携が取りにくい」(15.7%)、「施工スケジュールに余裕がない」(14.8%)などの進行過程での課題や、「社内に衛生リスク診断の仕組みがない」(14.0%)、「設計・施工チーム内で意識にばらつきがある」(14.2%)など組織体制や社内の合意形成に関わる問題もあげられている。

同社は調査から、「害虫獣リスクが“目には見えにくいが、確かに存在する普遍的な課題”であることが明らかになった」とし、「課題解決には現場の努力だけでは不可能で、予算・理解・体制といった複数の壁を越える仕組みが不可欠であり、建築の初期段階からリスクを定量化し、発注者や設計者が納得できる形で合意形成を進めることが必要」と指摘している。
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