YKK AP(東京都千代田区)は8月5日、東京都臨海副都心のテレコムセンタービルで、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を組み込んだ「建材一体型太陽光発電(BIPV)内窓」の実装検証を開始した。BIPVの社会実装に向け、既存オフィスビルでの取り付け方法や発電性能を検証する。

室内に設置したBIPV内窓
同社はこれまで、秋葉原や札幌、羽田イノベーションシティなどで実証実験を重ね、積雪環境や都市部のビル街での発電傾向を確認してきた。今回の検証は、オフィスで実際に使用されているビルを舞台に、内窓として設置する点が特徴。同社は、「今回の実装検証は、既存のビルで行うことに大きな意義があり、これは全国初の取り組み。この実物件での実装は、ほかの物件への展開の足掛かりにもなり、商品化に向け大きく前進した」とする。
1990年代まで多くのビルに採用されてきた「熱線反射ガラス」は、冷房負荷を低減する一方で、太陽光の透過率が低い。今回の検証では、そのガラス越しでどの程度発電可能かを確認し、長期使用に耐える設置方法、方位や角度の違いによる発電データなども取得する。
また、札幌での実証実験で確認された「雪上反射による発電効率向上」の再現方法についても検討する。寒冷地住宅への応用可能性が期待され、地域特性に応じたBIPVの最適化につなげる。
設置した内窓は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池型が10窓、比較用としてフィルム型シリコン太陽電池型が2窓、またガラス型ペロブスカイト太陽電池型も比較用として期間中に2窓追加する予定。このほか、比較用の内窓のみも1窓設置した。

建材一体型太陽光発電実装検証の様子

フィルム型ペロブスカイト太陽電池を⽤いた建材一体型太陽光発電の内窓(BIPV内窓)イメージ図
協定には、東京都港湾局、東芝エネルギーシステムズ、関電工、東京テレポートセンターが参画。検証は2026年1月まで行われ、ペロブスカイト太陽電池とシリコン太陽電池、ガラス型ペロブスカイト太陽電池を比較しながら進める。
YKK APは「窓で断熱」に加え「窓で発電」を実現する技術開発を強化しており、カーボンニュートラルの実現に寄与していきたいとしている。

テレコムセンタービル前景。1996年に建築
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