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堀部 安嗣 建築家・堀部安嗣建築設計事務所 |
1967年神奈川県生まれ。1990年筑波大学芸術専門学群環境デザインコース卒業。1991~1994年益子アトリエにて益子義弘に師事。1994年堀部安嗣建築設計事務所を設立。2007年~2024年京都芸術大学大学院教授。2022年〜放送大学教授。2002年「牛久のギャラリー」第18回吉岡賞受賞。2016年「竹林寺納骨堂」日本建築学会賞(作品)受賞。2021年2020毎日デザイン賞受賞、他多数 |
量から質へ
私が言うまでもないが、住宅・建築の世界は量から質への転換を実現しなければならない。日本では1980年代以降、人口減少局面に突入してからも相変わらず量の時代が続いた。質が置き去りにされてしまったつけが今、回ってきているのではないだろうか。
住宅の質に関わる要素としては、性能(耐震、耐久、防火、温熱)、意匠(間取りや動線、プロポーション)、素材、社会性(地域性、外構・庭、持続性)などが挙げられる。このうち、性能に関わる質は数値化・可視化しやすく、法による規制も受けるので比較的容易に向上するし、大切ではあるが、同時に意匠の質と社会的な質も、バランスよく高めていくことが求められている。
高断熱・高気密と自然の揺らぎ
2025年4月、建築物省エネ法の改正によって、断熱等級4以上でなければ住宅を新築することができなくなった。ようやく重い腰が上がったと思うが、一方で高断熱・高気密を推進する「外皮性能強化派」が、住宅設計の世界を席巻することが予想される。
外皮性能強化派は工務店やハウスメーカーに多い一方、建築家に多いのが「自然の揺らぎ享受派」だ。自然や季節の揺らぎを感じられる住宅を良しとして、高断熱・高気密には否定的な態度を取る。近年はこの二派が対立構造にあったように思う。
結論を先に言えば「どちらも大切」である。私もかつては自然の揺らぎ享受派であり、高断熱・高気密を敬遠していた。しかし高性能住宅を自ら手がけるようになって、やはり外皮性能を強化することはとても大切だと認識を改めた。とはいえ・・・
続きは「あたらしい工務店の教科書2025」P.20〜でお読みいただけます。
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