国土交通省は6月12日、主要都市の高度利用地など全国80地区における2025年1月1日~4月1日(25年第1四半期)の地価動向を調査した「地価LOOKレポート」を公表。5期連続で全80地区で地価が上昇した。住宅地は12期連続、商業地は5期連続での上昇となった。上昇率は「上昇(3~6%)」が5地区、「上昇(0~3%)」が75地区となっている。
上昇の要因として、住宅地では利便性や住環境の優れた地区を中心にマンション需要が堅調だったことを挙げた。商業地では再開発事業の進展や観光客の増加による店舗・ホテル需要、オフィス需要が堅調であったことが要因となった。

変動率区分の推移
住宅地は22地区すべてで上昇したが、変動率区分に変化はなかった。商業地も58地区のすべてで上昇。「池袋東口」では上昇率が鈍化し、変動率区分が「上昇(3~6%)」から「上昇(0~3%)」に移行している。
大濠、市場の過熱感続く
住宅地のうち地価上昇が目立つ福岡県大濠では、建築費の上昇が価格に転嫁され、分譲価格の上昇が続いているものの、売行きは引き続き好調。ブランド力のあるデベロッパーが高価格帯の分譲市場をけん引している。賃貸市場全体でも、築浅賃貸マンションを中心に家賃の強含み傾向が見られるなど、当面は市場の過熱感が継続する予想となっている。
大阪市中心部のオフィスエリアに近接する福島区では、梅田駅前の「うめきた公園」や「JAM BASE」(ジャムベース)の開業などを背景にマンション需要が好調。分譲価格が上昇傾向で推移している。デベロッパーによるマンション開発用地の取得意欲が高く、取引価格も上昇傾向にある。マンション賃料にも上昇傾向が見られる。
商業地のうち「池袋東口」では、再開発事業が進行中であることに加え、インバウンドの回復により店舗の賃料水準が上昇している。その一方で供給量が増加したことから、上昇率は緩やかになってきた。供給増により需給動向の変化や金利の動向にやや不透明はあるが、地価は引き続き緩やかに上昇する見通し。
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