国土交通省は11月18日、主要都市の高度利用地など全国80地区における2025年第3四半期(7月1日~10月1日)の地価動向を調査した「地価LOOKレポート」(PDF)を公表。全80地区で7期連続地価が上昇した。住宅地は14期連続、商業地は7期連続での上昇となっている。前期(第2四半期)からの変動はなく、変動率は「上昇(3~6%)」が5地区、「上昇(0~3%)」が75地区となった。
上昇の要因として、住宅地では利便性や住環境が優れた地区を中心に、引き続きマンション需要が堅調だったことを挙げた。商業地でも前期に続いて再開発事業の進展や観光客の増加により、店舗・ホテル需要、オフィス需要が堅調に推移したことが影響した。

変動率区分の推移
大濠など5地区で高い伸び
引き続き「高い上昇(3~6%)」が見られた地区は、住宅地では福岡市大濠、商業地では東京都中央区銀座中央、新宿区歌舞伎町、中野区中野駅周辺、京都市京都駅の5地区だった。
このうち「福岡市大濠」では、高価格帯のマンションを分譲可能な地区が市場をけん引している。建築費などの価格転嫁を背景にマンションの販売価格が上昇。都心部を中心に賃貸マンションの家賃水準も強含みの傾向にある。優良なマンション開発が可能なエリアでは好調な市況が継続し、将来の地価動向もやや上昇で推移する見通しだ。
その他の住宅地では、東京都心へのアクセスの良い「さいたま市新都心」で底堅い需要が見られた。さいたま市では2031年を目途に市役所本庁舎の移転を計画しており、今後都市機能の集積が見込まれている。こうした背景から、新築マンションの分譲価格や中古マンションの取引価格は上昇傾向にある。
商業地のうち、特に高い伸びを示した「中野区中野駅周辺」では、複数の大規模再開発事業の進行が予定されていることから、繁華性の向上が期待されている。人出が増加する「中野サンモール商店街」では路面店を中心に出店意欲が見られ、店舗賃料が上昇している。事務所ビルでは高い稼働率を維持し、賃料は上昇傾向にある。取引市場では、再開発への期待感から取引価格の上昇傾向が継続。取引利回りは緩やかに低下しているものの、地価動向は上昇で推移すると予想した。
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