国土交通省は6月5日、現在の能登半島地震からの復旧・復興状況と今後の見通しを公表した。能登半島地震では、被災後の9月に記録的な豪雨が発生し、水害や土砂災害によって甚大な被害が出た。今年も川が増水しやすい出水期を迎える前に、迅速な復旧・復興が求められている。
住まいの再建支援のうち応急仮設住宅では、豪雨で被災した218戸の修理を含め、必要戸数6882戸のすべてが24年12月26日までに完成した。豪雨の被災者向けに新たに必要となった286戸についても、今年3月28日までに完成している。
また、自力再建が困難な被災者のための木造応急仮設住宅については、6市町で1603戸を供給しており、恒久な使用も視野に入れている。調査によると、同住宅の必要戸数は約3000戸だが、残りの1500戸程度の用地も確保できる見通し。七尾市や氷見市では夏頃にも災害公営住宅の工事に着手する予定だ。

氷見市の災害公営住宅の計画図
自力再建を目指す被災者の住まいについては、住宅金融支援機構による災害復興住宅融資や高齢者向け返済特例など、被災者のニーズを踏まえた融資の提供を継続。応急仮設住宅に入居する全世帯を対象とした「いしかわ型復興住宅モデルプラン集」の配布が、5月の大型連休までに完了した。
また、液状化により傾斜した住宅の修復に対する支援では、石川県・富山県・新潟県で計1404件の支援申請を受理した。液状化災害の再発防止に向けた対策として、各自治体が液状化対策を含めた復興計画を作成し、実証実験を進めている。
石川県が追加支援を発表
被災地のうち石川県では、自宅再建をさらに後押しするため、補正予算を活用して住宅の新築・購入に200万円、家屋の修繕に100万円の追加支援を行うと発表。これにより、家屋の新築・購入補助額は合計約1000万円となる。さらに市町の独自判断による追加支援も行われる予定だ。
家屋の修繕に対する支援では、被災地の人口流出の抑制と能登の街並みの再生を目的に新たな支援策を実施する。例えば大規模半壊世帯が修繕する場合に、これまでの支援額と合わせて約755万円が支給される。

住まいの再建に向けた新たな支援策
民間賃貸住宅で住まいの再建を希望する世帯に向けては、空き室の少ない地域での住まいの確保を進めるため、新たに民間賃貸住宅の建設に対して補助金を支給する。対象は奥能登4市町、補助金額は1戸につき2.5万円/床面積1㎡、上限額は1戸あたり最大150万円となっている。他に、空き家の活用についても、県・市町で各種支援制度を用意する。

空き家活用に対する支援制度
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