能登半島地震の復興支援を後押しするため、石川県輪島市町野町にボランティア向けの宿泊拠点「町野町ボランティアベース」が2025年7月に開設された。現地では家屋整理や技術支援、高齢者支援、農林業支援など多様な活動に継続的な人手が求められている。だが、宿泊施設の不足が参加の障害となり、多くの支援希望者が活動を断念せざるを得ない状況が続いていた。
この課題に対応するため、輪島市農林水産課を運営主体、日本モバイル建築協会を運営代行として整備が進められた。利用対象は町野町支援ボランティアとして登録された全国の個人・企業・大学・NPO・NGOなど復興活動に従事する者。観光や商用目的での利用は認められていない。宿泊費は日額1500円(税別)、月額4万5000円(税別)と安価で、長期・短期の滞在に対応する。
施設には簡易キッチンや共同スペースなど最低限の設備を備えるが、旅館業ではないため寝具や洗面用品は持参が必要だ。輪島市中心部まで車で約40分、珠洲市まで約1時間と主要支援エリアへのアクセスが良く、現場での活動効率向上も期待される。
日本モバイル建築協会の長坂俊成代表理事は「復興は短期で終わるものではなく、継続的な人の力が必要だ。『泊まれない』という課題を解消することが地域を前に進める大きな力になる」と述べ、行政と連携した支援を今後も続ける方針を示した。町野町ボランティアベースは復興従事者の活動を支える拠点として、地域再建に重要な役割を果たす。

町野町ボランティアベース外観
■関連記事
能登に木造仮設住宅261戸など 大型パネルベースのユニット採用
能登半島地震の公費解体95%完了 廃棄物海上輸送も進む―石川県
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。





























