国土交通省は5月28日、防災科学技術研究所(防災科研)との連携により、3D都市モデルPLATEAU(プラトー)を活用した防災・災害対応システムを開発すると発表した。被災前の家屋の状況を把握する「被災現場支援ツール」や、効率的な除雪計画の策定や除雪作業を支援する「除雪優先度算出システム」の環境構築を目指し、プロジェクトを開始する。
被災前の状況把握を容易に
北海道や新潟などの豪雪地帯では、少子高齢化により除雪の担い手が不足。気候変動の影響で湿雪の局地的な豪雪が頻発し、従来の経験だけでは適切な除雪判断が難しくなっている。また、震災など自然災害時の捜索活動では、被災前の状況を把握することが重要となるが、被災による地形や建物の形状変化により、探索に時間を要することがある。
「被災現場支援ツール」は、AR(拡張現実)技術を使ってPLATEAUのデータと災害現場のカメラ映像を重ね合わせ、被災家屋や住民の状況を把握するもの。今回のプロジェクトでは、既存の被災現場支援ツールを改修し、現実と3D都市モデルのデータを同じ画面で表示できるようにする。
これにより被災前の建物の情報や実際の被害状況、住民の避難状況、除雪優先度、消火栓や融雪溝などの支障物の情報が、実際の映像上で確認できるようになる。

被災現場支援ツールのイメージ
「除雪優先度算出システム」は、PLATEAUが持つ建築物の属性情報(建築年・建物形状など)、気象データなどの広域積雪荷重情報を組み合わせて、個々の建物の積雪荷重リスクをリアルタイムに可視化するもの。除雪優先度を予測することで、適切かつ効率的な除雪計画の策定が行えるようになる。同システムで予測した除雪優先度は「被災現場支援ツール」に表示できる。
PLATEAU全国会議で報告
同プロジェクトについては、6月2日に都内で開催される「PLATEAU全国会議」で報告する予定。防災科研先進防災技術連携研究センター研究総括の伊勢正氏が開発状況や今後の取組について解説する。会議の模様はオンラインで無料配信される。視聴の申し込みは、イベント・コミュニティプラットフォーム「Peatix(ピーティックス)」で受け付けている。
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