国土交通省は4月21日、社会資本整備審議会・建設リサイクル推進施策検討小委員会を開き、提言の中間まとめ案を公表した。グリーン社会の実現に向けた建設リサイクルの方向性と具体的な施策をとりまとめたもので、中でも早期に取り組むべき施策として、建設発生土の有効利用と建設廃棄物のリサイクルを推進する考えを示している。
同省では目指す方向性として、“質”を重視した建設リサイクルを推進することを提示。すでに建設廃棄物の約95%は再生資材となっているが、現状で把握できていない再生資材についても利用状況などを適切に把握する。さらに2024年に実施した建設副産物実態調査の結果を踏まえ、指標・目標値を検討する方針だ。
他に、▽インフラの長寿命化による廃棄物の発生抑制(地域インフラ群再生戦略マネジメント)▽自然災害への対応(災害廃棄物の再資源化・縮減・利活用)▽リサイクル分野のDX(コブリスプラスなど)―を推進する。
品目ごとにリサイクルを高度化
個別品目ごとの具体的な施策では、建設発生土の相互利用を強化するため、建設副産物・建設発生土情報共有システム「コブリスプラス」の利用者増加を図る。これにより建設発生土の現場内および工事間利用を進める。さらに土質・土工期などの確認・調整を行う制度の構築に向けた検討も行う。
コンクリート塊については、現在約94%が再生クラッシャランとして再資源化されているが、道路の路盤材への利用に限られるなど、コンクリート骨材として再生・利用される量はわずかとなっている。そこで再生および新材クラッシャランの利用状況(用途・利用量・利用率など)や物流などを把握し、技術的検証を行った上で利用促進を図る。
建設発生木材のリサイクルについては、単に木材として利用するリサイクル・リユースにとどまらず、別の製品の原材料として活用するカスケード利用を促進。廃木材の潜在的な資源価値に着目し、現在主流となっているサーマルリサイクル(焼却時の熱エネルギー利用)以外にも活用を広げる。
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