国土交通省は4月から「建築確認電子申請受付システム(クラウド版)」の提供を開始した。これにより全国で共通のクラウドシステムを使って、建築確認申請をはじめとする建築関係手続きが行えるようになった。建築主事を置く特定行政庁や民間の指定確認検査機関は、自前でシステムを構築することなく、利用料のみ(※2025年度内は無料)で電子申請受付窓口が設置できる。
事業者側も同システムを利用することで、複数案件の審査をまとめて管理することが可能に。権限を利用者ごとに設定することにより、外部の事業者との情報共有や分担作業を行うことが可能となる。さらに作成した図面データをそのまま審査機関に送付できるため、紙での保存が不要といったオンライン申請ならではのメリットも得られる。
ただし、同システムによる電子申請が可能な機関は現状では限られているため、より多くの機関や行政庁での導入が急がれる(※参考→現在対応している機関)。

「建築確認電子申請受付システム」のチラシ
チャット画面などで経過確認
対象となる申請は、建築物・昇降機・工作物の確認申請と計画変更。不備があった場合の修正再提出や確認済証の取得も行える。2026年度中には「中間検査申請」「完了検査申請」「構造計算適合性判定申請」「省エネルギー適合性判定申請」の機能も導入される予定となっている。
利用にはシステムにログインするための新規アカウント(管理者権限)が必要となる。管理者権限を持つ利用者は、他の利用者を何人でも追加登録することができる。主な画面として、修正前後の図面を管理する「提出図書一覧画面」、審査機関とのやりとりが残せる「チャット画面」、審査の進捗が一目で分かる「審査経過画面」などが表示できる。
国交省の資料によると、従来のシステムによる建築確認申請の電子化率は年々高まっており、「建築確認」では55.5%(24年7月時点)がオンライン上で申請が行われた。さらに「構造方法等の認定」では91.0%(24年度末時点)がオンライン申請されている。
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