国土交通省は12月24日、第15回建築BIM推進会議を開催した。この中で2026年4月に開始予定の「BIM図面審査」に向けた準備状況と今後の方針を公表。建築確認制度のデジタル転換を前に、審査環境の仕様や関連基準の整備スケジュールなどが示された。
BIM図面審査は、BIMで作成したネイティブデータをもとにPDF図書とIFCデータを出力し、ともに提出する方式だ。2026年時点ではIFCデータは参考資料扱いだが、BIMモデルを基にしたPDFと併用することで申告書に基づき、図面間の整合チェックの一部を省略できることから、審査期間の短縮が期待されている。
今回の会議では、審査環境の要となる「確認申請用CDE(共通データ環境)」の機能仕様も示された。CDEとは、申請図書やデータをオンラインで一元管理する仕組みで、PDFの変更箇所を抽出する差分チェック、3Dデータの閲覧、チャット、図面への書き込み(マークアップ)など15の機能を備える。
実際の運用では、確認検査機関がCDE上に開設した専用サイトへ、申請者がプロジェクトごとにフォルダを作成し、確認検査機関や消防、適合性判定機関を招待する形式を見込む。これにより、確認審査・適合性判定・消防同意の各担当者が同じデータを参照でき、機関ごとの重複提出が不要になるなど、プロセスの透明性と効率が大幅に向上することが見込まれる。日本ERIやビューローベリタスジャパンなど主要な確認検査機関は、2026年4月からCDEを用いたBIM図面審査の運用を開始する予定だ。
木造の入出力基準の素案も公開
また、会議当日となる12月24日には、BIM図面審査ガイドライン、入出力基準、申告書、審査マニュアルなどの各案の事前公表版が公開された。これらの初版は2026年1~3月にかけて順次公表される予定で、整合性確認の省略可能な項目を明示する「入出力基準解説書」の初版も2026年1月に公開される見通しだ。「意匠・構造・設備の分野ごとの入出力基準」のうち構造については、木造(軸組工 法・枠組工法)の入出力基準の素案を12月10日の環境整備部会で公開。2026年3月ごろには同初版を公開する。
同省は、2029年春には、IFCデータそのものを審査対象とする「BIMデータ審査」へ移行する計画だ。その上で将来的に、設計・審査・施工・保守の各工程でBIMデータを活用し、建築業界全体の生産性向上につなげる考えとしている。
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