FHアライアンス(愛知県春日井市)が開発した次世代全館空調システム「マッハシステム(MaHAt system)」の技術が、パナソニック(株)空質空調社傘下のパナソニックエコシステムズ・ノースアメリカに採用され、住宅向け全館空調システム「OASYS」として1月7日から、米国内での販売を開始した。ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2025」に出展したほか、22日にオープンしたテキサス州・ヒューストンのコンセプトホームで、ビルダーなどBtoB顧客を対象とした展示を行っている。

テクノロジー見本市「CES2025」に出展(提供:Panasonic)
「マッハシステム」の技術を「OASYS」に
「OASYS」は「マッハシステム」の技術を採用した、高気密・高断熱な住宅に適した全館空調システム。「マッハシステム」は、FHアライアンスが技術開発した「住まい手にとってより健康的で快適な空気環境」を提供する居住用空調システムで、ルームエアコン1台で全館の冷暖房ができ、同時に換気・空気浄化・除湿を行うことができる。2012年に特許を取得。「2022年度省エネ大賞」で、「省エネルギーセンター会長賞」を受賞している。
米国における従来の全館空調は、1台の大きな搬送ファンから各部屋に冷温風を送風するもので、夏は電気式、冬はガス式の機器を使用。ファンの騒音や各部屋での温度むらが課題となっていた。さらに近年、住宅の省エネ性への関心が高まったことから、冷暖房機能を備えた高効率なヒートポンプ、インバータ式空調へのシフトが求められてきた。

参考:米国の一般的な全館空調イメージ(提供:Panasonic)
50%以上の省エネを実現
今回発売された「OASYS」は、ルームエアコン、熱交換気ユニット、DCモーター換気扇(搬送ファン)で構成。1台のエアコンで、室温との上下差が1~3度程度の冷温風を均一に送風することで、家全体の温湿度を常に一定に保つことが可能となっている。これにより従来の空調方式と比べて、50%以上の省エネが実現できる。
さらに屋根裏、床下などにくまなく空気を循環させることで、結露やカビの発生リスクを低減。空気循環の際、PM2.5・花粉・ホコリ・ウイルスなどをフィルターで繰り返し取り除くことで、快適・清潔な室内環境を保つことも可能となっている。

「OASYS」の全館空調イメージ(提供:Panasonic)
空質空調社ではテキサス州を皮切りに、ビルダー・設計事務所などを対象に「OASYS」の販売を開始。今後、換気扇事業を基軸に全館空調事業を拡大する考え。将来的には省エネ機器との連携など、家庭内のエネルギーマネジメント最適化に向けた取り組みを推進したいとしている。
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