LIXIL住宅研究所(東京都品川区)はこのほど、「住まいと家族の幸福度に関する調査研究報告書」を発表した。これは同社が2月に実施した子育て世代向けの意識調査(対象:20〜40代、n=1000)をもとに、社内シンクタンク「キッズデザイン研究所」が分析を行い、幸福度と住まいの関係性を明らかにしたもの。
調査では、新築戸建て所有者に持ち家によって将来の幸福度が増すと思うか質問。「とても幸福度が増すと思う」52.2%、「少し増すと思う」28.2%と、計80.4%が「持ち家は幸福度を高める」と回答している(下グラフ)。

また、20~40代の子育て世代を対象に生活全般の幸福度を質問。10段階評価中、平均6.7点という回答を得た。この数値はワールドハピネスレポート2024で示された、日本全体の平均6.1点を上回っている。その背景として、「成長を見守る喜び」(27.2%)や「幸福な時間が増えた」(20.1%)といった実感が挙げられた。
続いて住居形態ごとの幸福度と家への満足度を比較。新築戸建て居住者の幸福度平均は6.9点、マンション居住者は6.6点だった(下グラフ)。満足度では戸建てが平均7.1点、マンションは6.7点と戸建てがマンションを上回っている。特に満足度9点以上の高評価層は戸建てが23.5%だったのに対し、マンションは11.3%と大きな差が見られた。

また、調査では、マンション居住者の55.7%、新築戸建て居住者の58.5%が「家は自分の幸福に大きく関わっている」と認識していることが判明。同社は、マンションよりも戸建てのほうが肯定的な回答の割合が高くなっていることについて、同社は自由度や広さが幸福感を支える要因になっていると分析している。
生活全般に対する幸福度を高める要因としては、「心の健康」(25.2%)と「信頼できる家族の存在」(22.5%)が上位を占めた。物質的な豊かさよりも精神的安定と家族関係が重視されていることが示された結果といえる。幸せな住まいの条件としては「子育てのしやすさ」(31.3%)が最も多く、「家族でくつろげるリビング」(29.5%)、「日当たりの良い部屋」(28.1%)が続いた。
調査の結果を受け同社は、総合的に見て、住まいに求められる役割は「安心してくつろげる」「家族が楽しく過ごせる」といった、家庭内のコミュニケーションとリラックスに集中していると解説。このことから、戸建てが持つ設計の自由度が、精神的安定と家族の絆という、現代の子育て世代が最も重視する幸福の要素に直結していることが明らかになったと結んでいる。
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