内閣府政府広報室は10月31日、「気候変動に関する世論調査」の速報結果を公表した。これは気候変動に関する国民の意識を把握し、今後の施策の参考とすることを目的として実施されたもので、「気候変動」「脱炭素社会」「気候変動影響」「気候変動適応」「熱中症予防」などについて調査を行っている。
このうち、調査で気候変動に「関心がある」と回答した者は「関心がある」50.6%、「ある程度関心がある」41.1%を足した計91.7%だった。過去の調査結果と比較すると、2020年11月調査の88.3%、2023年7月調査の89.4%から上昇傾向が続いており、依然として国民の高い関心を集めていることが分かる。
ただ、気候変動への関心が高まっているにもかかわらず、科学的な情報が十分に届いていない現状も示された。調査では国連のIPCCが第6次評価報告書で、初めて「人間の活動が地球温暖化の原因である」と明確に断定されたことを知っているか質問。この重要な見解について「知っている」と答えた人は34.8%で、2023年7月の前回調査の42.3%から減少している現実が浮き彫りになった。
家庭内の省エネ意識は高水準
脱炭素社会の実現に向けた個人の取り組み意欲については89.2%が「取り組みたい」(「積極的に取り組みたい」25.7%+「ある程度取り組みたい」63.6%)と回答。さらに現在日常生活で取り組んでいる脱炭素行動について複数回答で尋ねた結果、最多は「こまめな消灯等による電気消費量の削減」で66.5%が実施していた。次いで「軽装や重ね着による冷暖房の設定温度の適切な管理」が60.9%、「省エネルギー効果の高い家電製品の購入」が48.9%で続いている。このように家庭内のエネルギー効率改善に対する意識の高さが示された形だ。
省エネリフォームなど高額投資は低調
しかし、設備投資や高額な消費行動に関わる項目の実施率は低い。具体的には「省エネ住宅への居住、又はリフォーム」が15.0%、「温暖化対策に取り組む企業の商品の購入やサービス等の利用」は10.6%だった。「自家発電(太陽光発電パネルの設置など)又は自宅の電気を再生可能エネルギーに切り替え」は8.2%にとどまっており、取り組みには個人の意識や経済的な余裕が大きく影響していると考えられそうだ。
この他、日常生活の中で気候変動の影響を感じるかも複数回答で尋ねている。これについては夏の暑さの激しさ(95.1%)、雨の降り方の激甚化(77.1%)、激しい気象災害の増加(74.9%)などが上位を占め、国民の多くが影響を実感していることが分かった。また、個人が今後新たに取り組みたい適応行動としては、気象情報やハザードマップの活用、防災グッズの準備、熱中症対策グッズの利用など、生活に密着した対策に関心が高くなる傾向が見られた。
調査は9月11日から10月19日にかけて全国の18歳以上の日本国籍を有する者3000人を対象に、郵送とインターネットを併用して実施。回収数は1766人(回収率58.9%)となっている。
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