国土交通省は7月25日、道路占用者の安全報告を義務付ける「道路法施行規則の一部を改正する省令」を公布した。今年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、道路の維持管理基準を強化したもの。これまでもガイドライン(※)に基づいて、書面提出により電柱・地下管路など占用物件の安全性を確認していたが、今後は点検などで安全性能を確認した上で道路管理者へ報告することが義務付けられる。施行は2026年4月1日。
※ガイドライン=「道路管理者による占用物件の維持管理の適正化ガイドライン」(2019年5月)
道路管理者への報告時期は、①占用期間の更新時、②電柱・電線・地下管路などで占用期間が5年を超える場合、③占有期間の更新後、5年が経過する時期。さらに道路陥没リスクを踏まえた取り組みとして、「地下占用物連絡会議」(※後述)などが必要と認める場合には、点検結果を年1回などの頻度で報告することとなった。

道路陥没事故を踏まえた対応
従来のガイドラインでは、道路占有者が実施すべき安全確認について、物件の占用期間満了に伴う更新時に“必要に応じて”直近の管理状況について確認すること、占用許可から経過5年後を基本として、占用物件の現状を道路管理者宛の書面などにより報告することを求めていた。
しかし、書面の提出のみで確認していたことや、直轄国道以外の道路で同様の取り組みをしている自治体が、都道府県では約4割、市町村では約2割にとどまっていたことから、占用物件の管理状況が道路管理者に十分伝わっていなかった。
連絡会議で点検結果など共有
こうした状況を受け国交省では、直轄国道の道路利用者や第三者への重大事故を未然に防止する観点から、今年4月に「道路メンテナンス会議」の下部組織として「地下占用物連絡会議」を新たに設置。道路管理者と地下占用事業者が、道路陥没を防ぐ取り組みなどについて情報共有を行う場を設けた。今回の規則改正により同会議は、点検計画や点検結果を共有する場としても機能する。
共有する情報は、①占用者による当年度の点検計画・前年度の点検結果、②道路管理者による路面下空洞調査結果、③前年度の道路陥没実績、④陥没箇所の措置事例―など。
会議のメンバーは、対象施設の占用者と関係する道路管理者で構成。対象施設は、高速道路、直轄国道、公社道路、補助国道、都道府県道、市町村道に関係する道路地下の鉄道施設、通信関係施設、電力関係施設、ガス関係施設、上下水道施設などとなっている。
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