工務店にとって非住宅の新築は多角化における有望分野だ。ノウハウがあれば鉄骨・RCでもいいが、強みを発揮できるのは木造だろう。2023年度の非住宅の木造率は1〜2階建てで約17%、3階建てで約4%、4〜5階建てだと0.1%に過ぎず、膨大な木造への置き換え市場が存在する。政府も木材利用促進法や補助金などで非住宅の木造化を推進。今後義務化に向け法整備が進む「ホールライフカーボン」表示でも基本的には木造が有利に働くため、非住宅の木造化はさらに加速する。
市場が拡大すると競合の参入も増える。その前にノウハウと実績を蓄積し、ブランドを確立したい。
非住宅事業の難しさ
一方で非住宅事業には難しさもある。住宅と異なり非住宅はBtoBビジネス。基本的には「早い・安い・コンプラ徹底」を求められ、契約書ベースでシビアに物事が進む。多くの人・企業が関わるため調整・合意が大変で、変更も繰り返されることが多い。
このため初めての施主の場合は特に設計事務所を企画設計・監理に入れたほうが無難だ。設計事務所が案件を持っていて木造ができる施工会社を探すケースも多く、パートナーとなる設計事務所がいるか/見つかるかは大きい。
また、工務店が得意とする高性能化・ZEB、自然素材は差別化にはなり、それを求める施主には共感・支持されるが、前述の通り安さを求める施主が多いなかでは普遍的・圧倒的な強みにはならない。非住宅事業で年間目標を設定し専任スタッフを置き職方を抱える場合は仕事量を確保する必要があり、間口を広げざるを得ないのが悩ましいところだ。
コストダウンと積算
工務店が取り組みやすいのは・・・
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