帝国データバンク(東京都港区)は6月20日、「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2025年)」の結果を公表した。BCPを策定している企業の割合(BCP策定率)は20.4%(前年比0.6ポイント増)となり、2016年の調査開始以降初めて2割を超えた。
企業規模別に見ると、「大企業」が38.7%(同1.6ポイント増)、「中小企業」は17.1%(同0.6ポイント増)だった。中小企業は上昇したものの伸び率は低く、企業規模による格差は広がっている。
「現在、策定中」(7.4%、同0.1ポイント増)と「策定を検討している」(22.0%、同0.9ポイント減)を合わせた「策定の意向あり」の企業は41.5%(同0.3ポイント減)に。策定率は伸びつつも、策定していない企業も依然として4割を超えている。
BCPの策定意向を持つ企業が「事業の継続が困難になると想定しているリスク」は、地震や風水害、噴火などの「自然災害」が70.8%で最多。次いで、サイバー攻撃などを含む「情報セキュリティ上のリスク」(46.1%)となった。
また「事業が中断するリスクに備えて実施・検討している内容」としては「従業員の安否確認手段の整備」(68.3%)や「情報システムのバックアップ」(59.9%)、「緊急時の指揮・命令系統の構築」が上位を占めた。大企業は「従業員の安否確認手段の整備」や「情報システムのバックアップ」を重視しているのに対し、中小企業は「災害保険への加入」や「代替生産先・仕入先・業務委託先・販売場所の確保」が上位となった。
BCPを策定していない企業では、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」(42.7%)を理由に挙げる企業が最も多く、「策定する人材を確保できない」(33.1%)、「策定する時間を確保できない」(28.6%)が続いた。中小企業では、「策定する必要性を感じない」(19.2%)、「策定する費用を確保できない」(15.7%)が、それぞれ大企業より5ポイント以上高い結果となった。
同調査は、2025年5月19~31日にかけてインターネットで実施。対象は全国2万6389社、有効回答企業数は、1万645社で回答率は40.3%。
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