内閣府は6月4日、民間資金の活用により公共施設などの整備を促進するための「PPP/PFI推進アクションプラン」(2025年改定版、PDF)を公表した。
政府が掲げる「地方創生2.0」を実現には、地域の公共施設やインフラを適切に整備・維持・管理することが不可欠となっているが、地域によっては公共だけで実施することが困難となっている。そこで、民間事業者との連携によりPPP/PFIの活用を促す考えだ。
今回、自治体や民間事業者が抱えるPPP/PFIの課題解消に向け、支援の強化や事業環境の改善、フェーズフリーの視点などを盛り込んだ。また、廃校などの空き施設や空き家など地域課題の解決に向けて、民間事業者のノウハウを生かして運営を行う「スモールコンセッション」の推進を掲げた。
重点分野への取組では、水道事業における「ウォーターPPP」の推進、全国の直轄駐車場の維持管理・運営事業の実施、ハイブリッドダムの新規増設、国営・国立公園での民間活用などに注力する。
手続負担軽減で連携後押し
自治体がPPP/PFIに取り組む上での課題では、▽PPP/PFIに関する知識・経験・ノウハウ不足▽手続きが煩雑で検討期間が長い▽小規模な事業に民間事業者が関心を示さない▽自治体と民間事業者との接点が少ない―などが挙がっている。
そこでこれらの課題に対応するため、PFI推進機構による自治体への支援を強化。民間事業者の参加を促す取組として、民間事業者からの事前提案による工事費の削減や、収益事業による利益創出を図る。物価上昇への対応として、予定価格に最新の実勢価格を適切に反映させるなど、適正な価格の算出にも努める。

24年ガイドラインによる予定価格の算出方法
地域課題の解決に向けた官民連携による取組では、手続き負担の少ないスモールコンセッションの実施を推進。空き施設や古民家などの空き家の活用で小規模な官民連携事業を行い、地域課題の解決やエリア価値の向上につなげる。
スモールコンセッションの事例では、岡山県津山市の伝統的建造物に指定される町家群を、付加価値の高い宿泊施設として整備・運営しているケースや、福岡県宮若市の小学校跡地を民間企業のAI開発センターとして活用している例などを挙げている。

スモールコンセッションの事例
近年、激甚化・頻発化する自然災害への対応では、平常時と災害時の境界をなくすフェーズフリーの視点を取り入れ、地域活性化と災害対策の両立を図る取組を実施。優良な事例集を作成し、全国への横展開を目指す。

フェーズフリーの視点を取り入れた事例
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