約30年前から高断熱住宅に取り組んできた八幡(東京都青梅市)は、太陽光発電も搭載率90%、蓄電池導入率87%を誇る(2024年時点)。電気料金のシミュレーションや、性能の水準が異なる住宅の光熱費データを示しつつ、初期負担を軽減する太陽光導入支援サービスも活用。経済的メリットを前面に押し出した資金計画により、イニシャルコストのハードルを乗り越える。【編集部 荒井隆大】
15年ほど前から太陽光発電は取り扱っていたが、力を入れて提案するようになったのはコロナ禍で発生したウッドショックや資材高騰がきっかけだ。価格が上がっても自社が選ばれるために、太陽光発電と蓄電池によるエネルギーの自家消費を付加価値として構築することにした。
同社注文住宅営業部部長の平野透さんは「高断熱で太陽光を搭載すると省エネだ、と説明しても、実際にはお金で考えないとわかりづらい」と話す。光熱費も上昇している中で「コストの上昇分をカバーできるのが太陽光発電」と捉えている。

外皮性能▷️平均UA値0.41W/㎡K、C値0.4㎠/㎡以下、太陽光発電▷平均7kW、暖冷房▷エアコン、給湯▷エコキュート(パナソニック製)、蓄電池▷建て得でんちプランで設置(11.5kW)、またはニチコン(7.4kW×2台)、京セラ(5.5kW×3台)。いずれも全負荷型
資金計画は性能と支援制度の有無で2パターン
断熱や設備で価格が上昇する分、顧客の予算は成約を左右する重要な要素だ。同社では、東京ゼロエミ住宅など支援制度を前提にした資金計画を提示しながら、自家消費による光熱費の削減効果をあわせて説明することで顧客の理解を促す。
資金計画は、2回目の面談で行う。初回面談の終了後、“断熱等級6で支援制度を利用”と“断熱等級4で支援制度を使わない”の2パターンで概算見積もりを出し、それぞれ資金計画を立てる。面談時にはまず「補助・助成金で断熱や設備にかかるイニシャルコストの差が小さくなる」と説明する。
具体的には・・・
この記事は新建ハウジング5月20日号2面(2025年5月20日発行)に掲載しています。
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