弁護士・秋野卓生さんが、工務店が知っておくべき法律知識を毎月20日号で解説する本連載。
建築基準法・建築物省エネ法改正から1カ月が経過した今、改めてリフォームで気を付けたいポイントを解説します。
法律相談の現場
かつて、姉歯事件を受けた建築基準法改正施行後、建築確認が全然下りず着工が激減し、経済にも影響を与えた事件が起こりました。今回も同じような懸念を指摘する声がありましたが、今のところ混乱しているという法律相談は寄せられていません。これまでに、下記2件の法律相談がありました。
①設計事務所との意見の不一致
工務店からの法律相談です。この工務店には建築士が在籍しておらず、設計図書作成は専業の建築士事務所に依頼していました。工務店は、3月中に建築確認を得て着工し、旧法対応で計画をしていたのですが、施主と設計契約を締結した建築士が、新法対応の実施設計図書を作成し、その結果、大幅なコストアップとなり利益がほとんどなくなった、という法律相談を受けました。
このケースは、新法対応だとコストアップすることから、旧法対応で行きたいという工務店の希望と、完成した段階で既存不適格になる設計はできないという設計事務所の意向が衝突したケースでした。
②3月中に着工できなかった
施設を自社で建築予定であった工務店が、施主からの強烈なクレーム対応に労力を割かれ、3月中の建築確認・着工が不可能となり、全ての設計図書を新法対応で書き換えなければならなくなって、大幅な工期遅延が発生してしまう、という法律相談もありました。
リフォーム工事受注の際の
施主説明が難しい
法改正により、新2号建築物(階数2以上または延べ面積200㎡以上の建築物)について、大規模な修繕を行う場合には、建築確認の手続きをしなければなりません。他方で、建築確認不要なリフォーム工事もあります。
しかし、国土交通省の説明資料[図]を見てください。「建築確認手続きが不要な場合でも、リフォーム後の建築物は建築基準法に適合している必要があります」とあります。住宅会社の皆様が、建築確認手続きを要しないリフォーム工事を受注する際、この点を説明できているか?という点を心配しています。

[図]木造戸建のリフォームにおける建築確認手続きの要否のフロー
出典:国土交通省「木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について」
例えば、キッチンのリフォームなど部分的なリフォームを実施する場合、そもそも建物全体として建築基準法に適合しているかどうか、確認すらしていないと思います。その中で・・・
この記事は新建ハウジング5月20日号7面(2025年5月20日発行)に掲載しています。
※既に有料会員の方はログインして続きを読む
有料会員になると、全ての記事が読み放題
有料会員
定期購読&会員サービス全てが利用可能! |
試読会員
「フルスペック」の有料会員を1ヶ月無料でお試し! |
デジタル会員・・・一部記事が閲覧可能! 会員登録する |
有料会員でできること✓
✓ | バックナンバー3年分が読み放題 |
✓ | DIGITALオリジナル記事が読み放題 |
✓ | クローズドのセミナー・スクールに参加できる |
有料会員向けおすすめ記事
![]() |
![]() |
キクザワ、AI時代見据え「一貫担当」「社員大工」の採用育成強化 | 本当にあった?!「建築企画」のちょっとヤバめな話 |
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。