矢野経済研究所(東京都中野区)は5月9日、国内のZEH市場に関する調査の結果を公表した。2023年度のZEH市場は、建築物の工事費ベースで6兆5712億円(前年度比61.4%増)。うち戸建て住宅が約4割、集合住宅が約6割を占めた。
21年度から23年度の3年間における年平均成長率(CAGR)を見ると、戸建てのZEHは19.1%増。一方、集合住宅では163.5%増となった。2030年度までに省エネ基準がZEH水準へと引き上げられることを見据え、大手を中心とした各デベロッパーが自社の住宅を、原則ZEH Oriented以上としていることが大幅な拡大につながっていると見られる。
市場全体では、30年度までCAGR 11.4%増で推移し、30年度の市場規模を14兆円と予測する。省エネ基準の引き上げに向け、ハウスメーカーやデベロッパーが商品開発、販売の両面でZEHを標準化していく中で戸建て、集合の両市場で拡大を見込んでいる。
30年度から35年度にかけては、CAGR4.3%増で推移し、35年度には17兆2700億円を見込む。着工減が進む一方、再エネ設置拡大などを盛り込んだ第7次エネルギー基本計画を背景に、戸建て住宅ではZEH水準から、再エネを搭載したZEH、Nearly ZEHへの移行が進むと予測。集合住宅でも太陽光の導入拡大は不可避で建設費が上昇し、市場拡大につながると見ている。
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