東京商工リサーチ(東京都千代田区)は3月7日、2024年度(4-2月)の「解体工事業」の倒産が合計54件に達し、過去最多を更新したと発表した。過去20年間で最多だった2023年度の53件(2011年度同数)を、11カ月で上回った。
「物価高」関連が5件(前年度2件)、「人手不足」関連が5件(同1件)、「新型コロナウイルス」関連が9件(同8件)となり、業績不振だけでなく複合的な要因で倒産に至る現状が明らかとなった。
原因別では、受注不振が38件(前年度39件)で7割(70.3%)を占めるが、件数は横ばい。一方、コスト増を吸収できず赤字が累積した「既往のシワ寄せ」が9件(同6件)と増加しており、発注単価が適正か検証が必要かもしれないとした。
資本金別では、「100万円以上500万円未満」が20件(構成比37.0%)、「500万円以上1000万円未満」が12件(同22.2%)と、資本金1000万円未満が約9割(47件、同87.0%)を占めた。負債額別は「1000万円以上5000万円未満」が26件(同48.1%)と半数近くが小規模だったが、負債1億円以上も18件(同33.3%)発生し過剰債務を抱えたケースも多い。従業員別は「5人未満」が34件(同62.9%)と最多で、「5人以上10人未満」も14件(同25.9%)発生するなど、人手不足の影響がみられる。
リーマン・ショック(2008年秋)の影響で、2011年度には解体工事業の倒産が53件発生したが、東日本大震災の復興特需や不動産開発の盛り上がりなどで沈静化。2022年度までは根強い不動産市況や休業店舗の解体工事などで小康状態が続いたが、コロナ禍を境に建設資材価格や産業廃棄物の処理費用が上昇し、解体工事のコストが増加。人手不足も深刻化し、体力の乏しい小規模事業者の倒産が急増している。
同調査は、日本産業分類の「はつり・解体工事業」の倒産(負債1000万円以上)を集計、分析した。
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