
第3回(10月30日号16面)では、鳥取県が導入した住宅の性能評価と価値査定の仕組み「T-HAS」を紹介しましたが、第4回では、その原型となった「THK住宅査定システム」(以下、THKシステム)を開発した一般社団法人建物評価研究機構(THK、広島事務所:広島県広島市・東京事務所:東京都千代田区)の金堀健一さんに話を伺いました。住宅を「消耗品」から「資産」へと変えるための挑戦と、その仕組みが工務店にもたらす可能性を探ります。
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| 今回お話をおききしたのは | ||
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一般社団法人建物評価研究機構(THK)理事 金堀 健一さん |
住宅デザイン研究所代表取締役。一級建築士。宅地建物取引士。公認不動産コンサルティングマスター。建築と不動産の両分野に精通し、住宅の「正しい価値」を見える化する仕組みづくりに尽力。THK住宅査定システムを通じ、工務店の新たな役割を提唱している。 |
「住宅は消耗品ではなく資産」の 意識から出発
前:まず、THKシステム開発の背景について教えてください。
金堀:長年、建築・不動産業界に携わる中で、日本では築年数が経つと住宅の価値が急激に下がり、20~25年でほぼゼロ扱いになる現状を目の当たりにしてきました。欧米では住宅を手入れしながら何世代も住み継ぐのに、日本では「古くなったら壊して建て替える」という消耗品扱い。そこに大きな違和感がありました。
私自身、築24年の自宅を3社に無料一括査定してもらったところ、すべてゼロ円でした。フルリノベーション済みにもかかわらずです。「築24年ですから」と言われました。車なら30分で数十万円の査定が出るのに、住宅はたった十数分でゼロ査定。これは「建物の質」を評価する仕組みがないからです。
加えて、不動産業界の商慣行にも課題があります。日本の不動産業界では、売り主と買い主の双方から手数料を取る「両手仲介」が一般的です。自分の利益を優先し、住宅の本当の価値より“売りやすさ”を重視する傾向が大変強く、性能の良い家を建てても正当に評価されないのが現状です。
良質な住宅が正しく価値を認められ、真面目な地域の工務店や住まい手が報われる仕組みをつくりたい─その思いがTHKシステム開発の原点です。
仕様と性能を「見える化」し 査定価格に反映する仕組み
前:THKシステムの特徴は?
金堀:従来の査定は、築年数と延べ床面積・近隣の取り引き事例で価格を決めるのが主流です。これでは、断熱や耐震といった性能、丁寧なメンテナンスの努力が価格に全く反映されません。
対してTHKシステムでは・・・
この記事は新建ハウジング11月30日号7面(2025年11月30日発行)に掲載しています。
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