富士経済(東京都中央区)は6月6日、闇バイトによる凶悪強盗事件の多発を受けた防犯ニーズへの対応や、関連技術の幅広い用途への活用が進むセキュリティ関連機器・システム・サービスの国内市場の調査結果を「DXを実現するセキュリティ関連システム・ソリューション市場の将来展望2025」にまとめ、発表した。
2024年の国内市場は、首都圏を中心とした再開発や設備投資、防犯ニーズの高まりなどにより1兆720億円と好調だった。しかし、2028年頃からは、ビル新築件数の減少に伴う需要減などで、市場の伸びは鈍化するとみられる。2029年は、監視カメラシステム分野やバイオメトリクスなどのアクセスコントロール分野が大きく伸長し、14.7%増の1兆2294億円と予測する。

セキュリティ関連(機器・システム・サービス21品目)の国内市場
「警備サービス/防犯関連機器・システム分野」は、ホームセキュリティサービスが、闇バイトなどによる犯罪の増加を受けて堅調に拡大。防災・防犯や高齢者見守りなどの需要増加により、今後も伸びるとみられる。
「監視カメラシステム分野」は、部材供給の回復や企業の設備投資の増加、各ベンダーの値上げと高付加価値製品の販売注力により、2024年の市場は前年比8.4%増の1348億円となった。監視カメラ市場の約8割がIPカメラで、アナログカメラからの切り替えが進んでいる。特にAI画像分析機能を内蔵したエッジAIカメラの伸びが期待される。
「防災設備分野」は、火災報知設備が、部材価格の高騰などの値上げにより市場が拡大。長期的には住宅やオフィスの新築件数の減少で、緩やかに縮小するとみられる。ガス漏れ警報器はLPガスの採用減、新築減が影響したが、値上げによりプラスを維持した。2025年以降は新築減に伴い縮小が予想される。
セキュリティ関連技術を活用したDXシステム・ソリューション市場は、2024年は1414億円、2029年は24年比75.7%増の2484億円と予測。入退室管理や来訪者受付システムを含む「オフィス」、画像解析AI活用の「店舗」などの市場規模が大きいが、今後は、人手不足対策や業務効率化で「住宅」「製造」「建設現場」などで高い伸長が予想される。
また、スマートロック市場は、2025年は24年比13.4%増の237億円、2029年は84.7%増の386億円と予測。賃貸集合住宅やマンションで需要が増加しているほか、オフィスを中心としたビル用途が市場をけん引している。鍵の受け渡しなどの受付業務、鍵管理の省人化が実現できることから、需要増加が期待される。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。