セレンディクス、3Dプリンターで「JR初島駅」駅舎を建設

2025年4月23日 08:15

セレンディクス（兵庫県西宮市）はこのほど、JR西日本グループと共同でJR紀勢本線「初島駅（和歌山県有田市）」において3Dプリンター技術を用いた駅舎の建設を3月26日に完了したと発表した。新駅舎は、外構や改札機などの設置工事後、7月頃に供用を開始する。

同社は、2024年5月にJR西日本グループと資本業務提携を締結し、3Dプリンター技術の鉄道施設への応用を進めてきた。1948年竣工の木造駅舎「初島駅」では、老朽化に伴う保守コストや維持管理の効率化が課題となっていたことから、新駅舎建設のプロジェクトを開始。同社の3Dプリンター住宅で培った技術を応用し、「最終列車から始発までの6時間で基礎も含めて躯体工事を完了する」という目標を達成した。

JR初島駅新駅舎（2025年3月26日午前5時ごろ撮影）

一般的に、駅舎の建設工事は夜間に行う必要があるため、鉄筋コンクリート造の場合、躯体設置に1～2カ月を要する。同プロジェクトでは、駅舎の部材を協力工場の立尾電設（熊本県水俣市）にて、7日間で製造。建設用3Dプリンターで4つのパーツを出力し、現地に輸送した。各パーツは内部に鉄筋とコンクリート流し込み、強度を向上させた。

施工当日は、最終列車出発後に作業を開始。パーツをクレーン車で吊り上げ、直接建築場所に設置し、約2時間で組み上げ工程を完了した。なお、トラックの入れ替え時間を除くと、作業時間は正味1時間15分程度だった。運搬用金具の取り外しなどを行い、始発前の午前5時には全ての工程を終了した。

新駅舎は、JR西日本が外構や内装、改札機設置のための電気工事などを実施し、供用を開始する。両社は今後、削減効果などを検証し、他の駅舎や鉄道施設への展開可能性を検討していく。