帝国データバンク(TDB、東京都港区)が3月5日公表した2025年2月の「景気動向調査結果」によると、景気DIは前月比0.1ポイント減の43.5となった。「建設」のDIは46.7で、前月から0.2ポイント減少。3カ月連続で景況感が低下した。

建設業の景気DIの推移(資料をもとに作成)
建設企業の個別意見では、「職方不足による手配繰りで大変なところはあるが、改修工事の案件は非常に多く、景気が良い」(建築工事)といった声が聞かれた。また、今季は東北地方を中心に例年よりも降雪の多い地域があったことから、「2024年より除雪の仕事が多い」(舗装工事)といった意見が目立った。
人件費上昇が下押し要因に
企業規模別では、「大企業」(DI:48.2)が前月比で0.1ポイント増加し、2カ月ぶりに改善。「不動産」では建築費や人件費の上昇が景況感を下押しした。「中企業」(DI:42.7)は同0.1ポイント減で2カ月連続の悪化。「小企業」(DI:41.6)は同0.1ポイント増え、5カ月ぶりに改善した。
地域別では、「東北」「東海」「中国」「九州」の4地域が悪化、「北海道」「南関東」が横ばい、「北関東」「北陸」「近畿」「四国」の4地域で改善した。「東海」(DI:43.5)は3カ月連続の悪化で、原材料・燃料価格の高騰により利益が減少している建設業の落ち込みが全体の景況感を下押しした。同じく3カ月連続で悪化となった「中国」(DI:42.6)では、建設企業から「新規物件の着工控えが目立つ」といった声が聞かれた。

2月の地域別景気DI(資料より引用)
ローン金利上昇を不安視
今後の見通し(全産業)では、実質賃金の増加と個人消費の拡大による好循環が最大のカギとなると予想。米国トランプ大統領の関税政策などによるリスク要因が懸念される中、インバウンド需要やIT関連の設備投資は底堅く、横ばい傾向で推移する見通し。
建設業では、「住宅ローン金利の上昇もあり、景気回復の兆しがみえない」(木造建築工事)、「人件費や資材価格、燃料価格の高騰による影響は続く」(一般土木建築工事)といった声が聞かれた一方で、「下水道関連の公共事業が増加しそう。企業誘致のための造成工事や宅地工事も見込まれる」(舗装工事)、「万博ほか、IR事業に関連するインバウンド案件を控えている」(電気配線工事)といった明るい兆しも見られた。
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