日本コンサルタントグループ(ニッコン)の建設産業研究所が1月15日公表した「地域建設業の“働き方改革”に関するアンケート調査」結果によると、「時間外労働の上限規制」について、全体の約半数(65社)で「ほぼ全員」が定められた上限時間内に、約4割(55社)で「多くの従業員」が上限時間内に収まっていると回答。さらに4割(54社)が「時間外を含む総労働時間が減少した」と答えている。
また、長時間労働を是正するために新たに取り組んだことについては、「長時間勤務を禁止するなど労働時間管理を徹底した」(72社)、「人事評価・給与・賞与・手当などの見直しなど処遇の改善」(48社)、「教育・研修の機会を増やした」(33社)との回答が上位となった。

長時間労働是正のため取り組んだこと(資料より引用)
この調査は、同社企業データベースから抽出した全国の建設業者1277社を対象としたもので、有効回答数は135件(回答率10.6%)。調査期間は2024年10月~11月。時間外労働の上限規制の適用から半年が経過した建設業界の現状を把握するために実施している。
業務移管で現場業務を削減
働き方改革の定着に必要なこと(※複数回答可)については、「発注者の理解(工期面・予算面)」(96社)、「人材の確保、増員」(83社)、「経営トップによる意識啓発や声かけ」(71社)、「発注者の理解(書類などの業務の簡素化)」(68社)などの回答が多数を占めた。また、全体の約4割に当たる55社が「一部の書類を他部門に依頼している」と答え、多くの企業で現場の業務削減のために業務移管や業務分担を行っていることが分かった。
他に、どの業務を改善することが現場の生産性向上に有効か(※同)については、「工事事務所内での書類作成」(95社)、「工事現場での業務(測量・工事写真・業者への作業指示など)」(82社)と答えた企業が多く、実際に改善が進んだ業務は、「工事事務所内での業者との打合せ」(66社)が最多だった。

どの業務を改善すべきか(資料より引用)
こうした結果を受けて同社は、「多くの企業が時間外労働の削減に苦労していると想像していたが、大多数が法令に適応した運用を行っていた。地域建設業でもIT・DX化による業務改善が浸透していると推察できる」とコメント。その一方で、「受注段階から工程・工期が厳しい物件が多い」「発注者向けの書類が多い」といった意見が見られたことから、「発注者を含めた関係者全体で労働時間の削減に取り組む必要がある」と分析している。
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