国土交通省はこのほど、公共工事における入札契約適正化の取組状況(7月1日時点)を調査し、結果をとりまとめて公表した。これによると、週2日工事や週休2日交替制工事の実施については市区町村を中心に取り組みが改善。その一方で、適正な工期設定で猛暑日の考慮への対応が遅れていることが分かった。
調査対象は、入契法適正化(入契法)の適用対象となる発注者で、国(省庁など)19機関、特殊法人121法人、地方公共団体(47都道府県、20指定都市、1721市区町村)の計1928団体。
週休2日工事の実施状況については、国の発注事業で前年に47.4%だったところ、2024年は84.2%にまで増加。特殊法人などでは24%から74.4%、市区町村では22.0%から55.2%と、いずれも大きく改善した。都道府県と指定都市は前年に続き、週休2日工事を100%実施している。

週休2日工事の実施状況(資料より抜粋)
一方で、工期の設定に当たって猛暑日を考慮しているかについては、都道府県では83.0%、指定都市では85.0%と、考慮している割合が8割を超えたが、国は26.3%、特殊法人などでは34.7%、市区町村では14.9%にとどまった。
近年、猛暑日が増加傾向にある中、24年は2010年以降で最多を記録。炎天下での作業は工事に従事する者の疲へいや手抜き工事の発生にもつながることから、政府は猛暑日などの作業不能日数を工期に反映するよう求めている。
スライド条項、市町村除き適用進む
工事費用や工期に変動が生じた場合に、あらかじめ契約締結した内容に基づいて請負代金額の変更が請求できる「スライド条項」については、市区町村での取り組みが約5割と遅れているものの、その他の団体では、ほぼすべての契約で「単品スライド条項」「インフレスライド条項」を適用している。
労働者不足や資材高騰による利益率低下などを背景とした不調・不落の発生率については、国が8.2%(前年比1.1ポイント減)、特殊法人が18.5%(同2.9ポイント増)、都道府県が6.2%(同0.3ポイント減)、指定都市が9.4%(同1.3%増)、市区町村が7.2%(同0.2ポイント減)となった。

不調・不落の発生率(資料より抜粋)
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