日本ウッドデザイン協会(東京都千代田区)は11月10日、「ウッドデザイン賞2025」の入賞作品206点の中から「最優秀賞」4点、「優秀賞」9点、「特別賞」3点、「奨励賞」15点の計31点を上位賞として選出した。表彰式および受賞作品展示は、12月10~12日まで東京ビッグサイトで開催される「エコプロ2025」内で実施される。展示は「森と木で拓くSDGsゾーン」にて行われ、最優秀賞を含む上位賞の表彰式は初日の午前中に特設ステージで行われる予定だ。
最優秀賞は、2025年日本国際博覧会の大屋根リング(農林水産大臣賞)、ヤマト本社ビルA棟・B棟(経済産業大臣賞)、エバーフィールド木材加工場(国土交通大臣賞)、美郷町カヌー艇庫(環境大臣賞)の4点。このうち、国土交通大臣賞を受賞したエバーフィールド木材加工場は地域工務店の木材加工場として計画された施設だ。熊本県産の小国杉を使い、材長5メートル以下の小中径製材が互いにもたれかかるように支え合う「木造レシプロカル構造」により、新しい木造無柱空間を実現した。
具体的には主に4寸角(120mm角)とその半割の部材からなる3角形のユニットを単位として、これらが互いに〈支える・支えられる〉という関係を繰り返すことで建物全体が構造的に安定する仕組み。同施設は、木造建築産業のさらなる活性化のため、地域における大工の育成や技術力の向上を図るためのスペースとしても構想されている。
事業主体はエバーフィールド(熊本県熊本市)で設計者は小川次郎さん(アトリエ・シムサ)、小林靖さん(kittan studio)、池田聖太さん(3916)。この他、山田憲明構造設計事務所(東京都)、小国町森林組合(熊本県)、興和産業(熊本県)、ランバー宮崎協同組合(宮崎県)が連名で参画している。

エバーフィールド木材加工場
優秀賞では良品計画(東京都)、吉野製材工業協同組合(奈良県)、関西工務店 (奈良県)が手掛けた無印良品イオンモール橿原の多目的スペースOpenMUJIにおける「木育広場の提案」などが選ばれた。また、日本の木材技術や文化を海外に発信する「日本の技・文化特別賞」には、松の樹脂を生かした屏風、木の形状をそのまま活かしたラック、輪島塗の技術を用いた漆器が選ばれている。
審査委員長の赤池学氏(ユニバーサルデザイン総合研究所所長)は、今年度の受賞作について「多様な用途での木材利用が見られ、地域工務店から大手ゼネコンまで木の担い手である事業者の幅が広がっていると感じた」と総評。今後の「木材利用の新たな担い手の登場を予感させる年だった」とコメントしている。
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