日鉄興和不動産(東京都港区)が運営するFuture Style総研は9月24日、10年後の新しい暮らし方を探る調査レポート『Future Style Agenda』を発表した。従来の画一的な家族モデルや働き方を前提とした都市設計が、これからの時代においても有効性を保ち続けていられるか問題提起。その上で10年後に30代を迎えるZ世代に焦点をあて、家族・仕事・拠点・健康・所有の5つの観点から価値観や意思決定の軸を分析、未来の住まいや都市づくりの指針とすることを目的としている。なお、調査は4~6月にかけて実施された。
調査ではZ世代について、かつての「住宅すごろく」に象徴されるような、画一的なライフステージが語られていた時代とは異なり、価値観や暮らし方が多様化し、個々が独自の価値観や嗜好性を深めているとする。そのため、従来のように個別の事象(家族・仕事・健康など)を単体で調査するだけでは、未来の30代の暮らしの全体像を捉えることが困難であるとした。
こうした中、調査では対象世代が経験してきた「報われない・持たざる世代」という認識、個性尊重型教育による「あなたらしさ」の制度化、そしてSDGsなど社会課題への関心といった社会変化がZ世代の価値形成の基盤であると指摘。多様な行動パターンを理解するためのヒントになるものとした。
その上で、対象世代を4つの価値観や志向に基づく生活者像に分類。具体的には横軸に自分らしさを自分基準で構築していく「自己定義型」と他者や社会の動向を参照しながら相対的な自分らしさを見つける「社会参照型」を設置。縦軸には「変化志向」と「安定志向」を置いた(下図)。
このうち、「自己定義型×変化志向」タイプは拠点について機能よりも意味を持つ存在であり、自身のアイデンティティを補強する場として活用。「社会参照型×変化志向」はライフステージや仕事・家族構成に応じて最適化すべき流動的な環境。都心と地方を行き来しながら、暮らしやすさと機能性を柔軟に設計する」などとまとめている。
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