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岡山県倉敷市で7月、地元工務店2社が世界基準の省エネ性能を誇るパッシブハウスの認定取得を目指すモデルハウスを相次いで完成させた。手がけたのは竹田建設と親和建設。いずれも新たに立ち上げた自社の住宅ブランドの旗艦モデルの位置づけだ。
ともに世界レベルの性能を備えていても、ブランドコンセプトやデザインなど空間の世界観は全く異なるため、同じエリアに同時期に誕生したこともあり、地元工務店による多様な高性能住宅の広がりへの起爆剤としても期待がかかる。竹田建設は年内、親和建設は年度内の認定取得を予定している。
両社とも、ヒトモノコト(大阪府大阪市)とアトリエさんかく(同八尾市)、PROSUM(プロサム、大阪市)が共同で運営する地域工務店に限定したブランディング支援サービス「一匙之事(ひとさじのこと)」を活用して、ブランド構築とモデル新築を進めた。計画段階から情報交換を重ねながら、互いに初となるパッシブハウスにチャレンジした2社は「切磋琢磨しながら、地元工務店による家づくりを盛り上げたい」と意欲を見せる。【編集部 関卓実】
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| 親和建設 | 所在地:岡山県倉敷市船穂町船穂1468-1 設立:1980年 社員数:6人 年間新築受注棟数:6~8棟 新築平均単価:80万円前後/坪 |

ウッドデッキや庭とつながるダイニング。中桐さんがコンセプトに掲げるモダニズム建築と自然との融合を象徴する空間だ
親和建設の新モデルは、本社のすぐ隣りにある自社の分譲地の一区画(約201㎡)に新築。木造2階建て・延べ床面積113.41㎡で、白・黒・グレーのモノトーンカラーをベースとするシンプルモダンの洗練されたデザインが特徴的だ。モデルの設計を手がけた同社取締役で一級建築士の中桐佳彦さんは、このモデルの建築プロジェクトと並行して自社の新ブランド「GREEN MODERN(グリーンモダン)」の構築を進めた。そのブランドのフラッグシップで出発点ともなる同モデルを「GREEN MODERN ZERO(ゼロ)」と名付けた。
「自分が好きな世界観を詰め込んだ。未来の標準を先取りしつつ、非日常を日常の暮らしのなかで味わいながら、心に残る“情景”を生み出すことを大切にした」と中桐さん。「業界を見渡すと意匠や性能に優れる“良い家”のあり方がなんとなく一定の方向に収れんされつつあるように感じる。これまで多くの建築を見て学び、自分なりに理解してきた素晴らしさや価値に尊敬の念を抱きつつも、それらを一度自分の中で消化したうえで、大きな流れや固定化されつつある路線と何か違うものを形にしたいという思いがあった」と明かす。
耐震性・耐久性も強化
モデルは、断熱等級7(UA値0.19W/㎡K、6地域)で、気密性能はC値0.1㎠/㎡。断熱の構成として、天井断熱は桁上にアクリアウールα140㎜厚を直交させながら二層敷き込み、さらに桁間にネオマフォーム60㎜厚を充填した。壁には柱間にアクリアウールα105㎜厚を充填し、ネオマフォーム60㎜厚で付加断熱。2階には、さらに80㎜厚を加えて付加断熱を二重張りとし、「デザイン的に1・2階の仕上げを分けて立体感を出すことにも利用した」という。床断熱は土台・大引き間にネオマフォームの100㎜厚を入れたうえで、構造用合板(24㎜厚)の上に25㎜厚のミラフォームを敷き詰めて「できる限り熱橋を減らした」。
窓にはYKK APのAPW430・431を使いながら・・・
この記事は新建ハウジング9月20日号4面(2025年9月20日発行)に掲載しています。
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