岡山県倉敷市で7月、地元工務店2社が世界基準の省エネ性能を誇るパッシブハウスの認定取得を目指すモデルハウスを相次いで完成させた。手がけたのは竹田建設と親和建設。いずれも新たに立ち上げた自社の住宅ブランドの旗艦モデルの位置づけだ。
ともに世界レベルの性能を備えていても、ブランドコンセプトやデザインなど空間の世界観は全く異なるため、同じエリアに同時期に誕生したこともあり、地元工務店による多様な高性能住宅の広がりへの起爆剤としても期待がかかる。竹田建設は年内、親和建設は年度内の認定取得を予定している。
両社とも、ヒトモノコト(大阪府大阪市)とアトリエさんかく(同八尾市)、PROSUM(プロサム、大阪市)が共同で運営する地域工務店に限定したブランディング支援サービス「一匙之事(ひとさじのこと)」を活用して、ブランド構築とモデル新築を進めた。計画段階から情報交換を重ねながら、互いに初となるパッシブハウスにチャレンジした2社は「切磋琢磨しながら、地元工務店による家づくりを盛り上げたい」と意欲を見せる。【編集部 関卓実】
【関連記事】初のパッシブハウスにチャレンジ モダニズム建築と自然を融合
![]()
| 竹田建設 | 所在地:岡山県倉敷市児島赤崎4-2273-2 設立:1970年 社員数:6人 年間新築受注棟数:2棟 新築平均単価:4300万円/棟 |
竹田建設のモデルは、倉敷市児島地区にある本社近く、眺望に恵まれた高台の敷地(209㎡)に建てた木造2階建て・延べ床面積110.13㎡。同社取締役の竹田亜沙美さん(二級建築士)と設計サポートやコーディネート業務などを担う妹の竹田瞳さんの2人は「パッシブハウス認定を最終目的として取り組んだのではなく、自分たちの家づくりへの理想を詰め込み、価値観の重なる地域の人たちに提案していきたい住宅のブランドとして新たに立ち上げた『satoie(サトイエ)』のフラッグシップとして完成させたもの」と強調する。
satoieブランドは、岡山の恵まれた自然環境を取り込みながら、家族の暮らしに「深み」と「愛着」が生まれる家を建てることをコンセプトとして掲げる。亜沙美さんは「自然の中で開放感を感じられる空間を重視し、パッシブデザインや断熱・耐震性能に配慮しながら、窓と庭のバランスを大切にする点が特徴」と説明。瞳さんは「このモデルハウスを通じて、丁寧に使い込むことで、年月を経るごとに美しさや味わいを増していく家具のように、手入れをして愛着を育みながら長く住み継いでいく文化を発信していきたい」と抱負を語る。
海と山を見晴らすリビング
まちに開いた「出迎える庭」

瀬戸内海や鷲羽山など地域を代表する美しい景色を見渡せる2階LDK。豊かな自然を取り込む自然素材に包まれた空間が、家族の伸びやかで心地いい暮らしを支える
同モデルハウスの2階LDKからは、地域を象徴する景観でもある瀬戸内海や龍王山、鷲羽山を見晴らすことができる。建物を鷲羽山に正対させた結果、敷地に対しては45度ふる配置となり、それによってできた4つのコーナー(角)に「出迎える庭」、「車の庭」、「つながる庭」、「家族の庭」といったコンセプトを設けて特徴的な庭をつくった。
亜沙美さんと瞳さんは・・・
この記事は新建ハウジング9月20日号4面(2025年9月20日発行)に掲載しています。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。




























