個人向けの不動産コンサルティングやホームインスペクションを手がけるさくら事務所(東京都渋谷区)はこのほど、2024年に実施した中古戸建てホームインスペクション986件の結果を、築年数によって分析した。築20年を境に、雨漏りやシロアリなど不具合の指摘率は大きく上昇。特に「傾き」は、築11~20年の3.3%から築21~30年は17.9%と、5倍以上に跳ね上がっている。
築21年以上で傾きの発生率が急上昇している背景として同社は、2000年の住宅品確法施行および建築基準法改正で地盤調査が実質義務化される以前の住宅が多いためだと推測。単なる経年劣化ではなく「制度が未整備だった時代に建てられた影響が出ている可能性」があるとしている。
築10年未満の物件でも雨漏り(3.3%)や水漏れ(6.6%)といった不具合は発生。同社が実施している新築工事中検査では、約7割の現場で防水工事の不備が確認されていることから、施工不良が原因である可能性が高いとしている。また、築15年を超えると、維持管理の有無で外壁・屋根の防水層の劣化、蟻害、構造材の腐食、雨漏りなどのトラブルが増加する傾向があった。
中古戸建て住宅の流通量は増加傾向にある。同社は物件の選定にあたり、築浅物件の施工不良、築20年物件の制度変化、築15年超物件の維持管理状態の確認の3点が重要だとして、購入前の第三者検査活用などを呼びかけている。
■関連記事
新築戸建ての不具合指摘率 構造・防水・断熱で6割を超える
新築戸建ての7割超で防水不具合 設計施工の属人性も影響?
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。





























