2025年日本国際博覧会協会は、6月23日に開いた定例理事会で、大阪・関西万博閉会後の「大屋根リング」の活用について公表。経済産業省や大阪府・市、経済団体などで構成される検討会で、「万博のレガシーとしての保存」と「持続可能性の確保」の2つの観点から、リユースに向けた検討を進めていることを明らかにした。
原形をとどめた形での保存が望ましいとされる一方、リユースを前提とした解体は通常の解体よりも多くのコスト(100㎥当たり1.1億円)を要するといった課題がある。そこで今回、北東部の第2期区域部分(約200m)と南西部の第2期区域部分(約350m)、およびリユース希望が出ている建材を除き、破砕・チップ化して燃料などとして利用する方針を示した。

残置を予定している部分(図中青色の箇所)
約2000㎥の建材を提供
「大屋根リング」は、「多様でありながら、ひとつ」という、万博会場デザインの理念を表す象徴的な建築物。協会と大阪市との契約では万博閉会後に協会が撤去し、土地を更地にして大阪市に返還することを定めている。また、協会と建設事業者との契約では、重機で取り壊して廃棄物として処理する予定だった。
しかし、万博レガシーの継承や持続可能な取組を求める声が高まったことから、会場建設費で対応可能な範囲内(2282億円)で、できるだけ多くのリユース需要に応える方針に転換。約1700~2200㎥の建材をリユース希望者に提供する。提案募集では、現地でのモニュメントやベンチ、パーゴラ(日陰棚)としての活用や外部への移築、集成材・CLTを構造材または非構造部材として再利用することを想定している。
「ミャク市!」サイトで公募
リユースの対象物は、柱材(赤松・ヒノキ集成材、420mm×420mm×約2~9m)、梁材(杉集成材、420㎜×210㎜×約1~10m、屋根材(ヒノキ・杉CLT、3層3プライ2400mm×8000mm×t90mm、5層5プライ3000mm×3600~8600mm×t150mm)。建設時の数量は柱材約1万㎥、梁材約1万㎥、屋根材約6000㎥だが、解体時に欠損する部分は除外される。
募集期間は、第1期(約700㎥)が7月上旬まで、第2期(約1000~1500㎥)が7月中旬から予定量に達するまで。解体工事は10月の閉会後から2027年2月までの間で順次進める。

大屋根リングのリユース公募スケジュール(予定)
◆参考:「ミャク市!」(建材/設備のリユースマッチングサイト)
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